コスト高や競争激化で撤退 機材は既存路線に転用

オーストラリアの航空最大手カンタス航空や格安航空会社(LCC)ジェットスターなどを運営するカンタス・グループは11日、3つあるジェットスターのブランドのうち、シンガポール拠点の「ジェットスター・アジア」を廃止すると発表した。シンガポールと東南アジア主要都市間の運航を7月31日に停止する。
オーストラリアで運営するカンタスの完全子会社ジェットスターの国内線や国際線の運航に影響はない。カンタスと日本航空、東京センチュリーが共同で出資するジェットスター・ジャパンの事業にも変更はない。
背景には事業環境の悪化がある。カンタスは声明で「サプライヤーのコスト増、空港使用料の負担増、地域の競争激化の影響を受けている」と説明した。事業停止に先立ち、ジェットスター・アジアは今年度、基礎的利払い前・税引き前利益(EBIT)ベースで3,500万豪ドルの赤字を計上する見通しだ。
ジェットスター・アジアは2004年設立。現在、シンガポールの投資会社ウェストブルック・インベストメンツが51%、カンタス・グループが49%をそれぞれ保有。シンガポールのチャンギ空港を拠点に13機の「エアバスA320」(ナローボディ機=通路1本の中型機)を16路線に就航させている。
カンタス・グループは現在、大がかりな機材刷新を進めている。オーストラリア東海岸とロンドン、ニューヨークをそれぞれ史上初の直行便で結ぶ超長距離機「エアバスA350-1000ULR」を筆頭に、新たに約200機を注文している。ジェットスター・アジアが保有するエアバスA320は、オーストラリアとニュージーランドに段階的に振り向けていく。既存のリース機との置き換えなどによって、調達コストを抑制する狙いがある。
■ソース
QANTAS GROUP TO CLOSE ITS INTRA-ASIA AIRLINE JETSTAR ASIA(Qantas News Room)