住宅ローン返済世帯は2月以降で月約3万円浮く

オーストラリアの中央銀行・豪準備銀(RBA)は12日、政策金利を0.25ポイント引き下げて3.60%にすると発表した。11〜12日に開いた会合で、全会一致で決定した。利下げは今年2月以降で3回目。大半の市場参加者の予測通りだった。
RBA理事会は会合後の声明で利下げの理由について「インフレは2022年のピークから著しく低下し、高い金利によって需要と供給のバランスが均衡しつつある」と説明。RBAが金融政策を決める上でより重要視する消費者物価指数(CPI)の「トリム平均値」(基調的インフレ率)が4-6月期に2.7%(CPI総合は2.1%)まで低下してきたことを受けて「基調的インフレ率は2〜3%のインフレ目標の中間付近まで継続的に和らいできたことを示唆している」と述べた。
世界経済の現況は、米国の高関税政策の影響がより明確になり、極端な混乱は避けられそうだとの見通しを示しているものの、不確実性の高い状態が続いているとの見方を示した。国内では民間需要が緩やかに回復しつつあり、家計の実質所得は伸びていると指摘。雇用情勢については、労働需給がややタイトな(ひっ迫した)状態が続いているものの、直近の数カ月間で軟化しつつあるとの認識を明らかにした。
RBAは前回7月の会合で、大方の予想に反して政策金利を据え置いた。しかし、その後発表された6月の失業率は4.3%に上昇し、約3年半ぶりの高水準に。雇用の軟化が顕在化してきたことから、RBAの利下げ見送りは失策だったとの批判も出ていた。
ジム・チャーマーズ連邦財務相は声明で「数百万人のオーストラリア国民を安心させるものだ。今回の利下げは全国の住宅ローン債務者に大きな変化をもたらす。(インフレや高金利に)あえいでいる人たちの財布を潤す」と述べ、利下げを歓迎した。
同財務相によると、借り入れ総額70万豪ドルの住宅ローン(変動金利型)債務者の場合、今回の利下げによって1カ月当たり109豪ドル、1年当たり1,300豪ドルの支払いが減るという。これまで3回の利下げによる返済額の減少幅は、累計で月330豪ドル、年間4,000豪ドルに達するとしている。
■ソース
Statement by the Monetary Policy Board: Monetary Policy Decision(RBA)
Reserve Bank cuts interest rates a third time(The Hon Dr Jim Chalmers MP, Treasurer)