カンタス、中銀に続きウーリーズも
オーストラリアのビジネス界ではこのところ、初の女性トップ登用が相次いでいる。航空最大手のカンタスや格安航空会社ジェットスターを運営するカンタス・グループでは23年9月、バネッサ・ハドソン氏が同社初の女性CEOに昇格。中央銀行の豪準備銀(RBA)でも同月、ミシェル・ブロック副総裁が初の女性総裁に就いた。小売大手ウールワース・グループ(通称ウーリーズ)は21日、デジタル部門トップのアマンダ・バードウェル氏が9月に初の女性CEOに就く人事を発表した。
いずれも、長く務めた前任者が不祥事などで世間の批判の矢面に立たされていたという共通点がある。カンタスは、キャンセル便の航空券を不正に販売したとされる「幽霊フライト」問題で、オーストラリア競争消費者委員会(ACCC)に提訴された。コロナ禍の不当解雇をめぐる裁判でも敗訴が確定し、不祥事が相次いだ。アラン・ジョイス前CEOは、当初の予定より2カ月早い退任を余儀なくされた。
RBAのフィリップ・ロウ前総裁は、21年の時点で「24年まで利上げはしない」と発言、その後の急激なインフレ進行を見誤った格好だ。22年5月以降、インフレを沈静化するため、前例のない激しいペースで利上げを行い、生活コストの高騰を招いたとして逆風を受けた。選択肢としてはあり得た2期目の続投はなく、任期満了でブロック氏にバトンを渡している。
ウールワースもまた、ブラッド・バンドゥッチCEOがインフレ便乗値上げの疑惑で窮地に立ち、巨額赤字を計上した21日に9月の退任とバードウェル氏への禅譲を発表した。いずれのケースも、初の女性トップ登用で新風を吹かせ、難局を乗り切ろうという意図がうかがえる。