背景に脱炭素 EV向け銅資産に狙い 英アングロは「NO!」
世界最大の資源企業であるオーストラリアのBHPグループ(メルボルン)は25日、同業の英アングロ・アメリカン(ロンドン)に対して買収提案を行ったことを認めた。アングロ株に31%のプレミアムを上乗せして株式交換を行い、総額311億英ポンド(約6兆円)で取得する計画だ。
温室効果ガス排出規制が世界的に強まる中、需要が高まる電気自動車(EV)向けの銅を確保する狙いがある。BHPは声明で「アングロの世界一流の銅資産を取得することで、将来(の需要拡大)に向けたコモディティー(商品)の割合を拡大する」と表明した。
これに対し、アングロ取締役会は26日、全会一致で買収提案を拒否した。同社は声明で「企業価値と将来性を著しく低く評価している。株主にとってもメリットがまったくない」と一蹴した。
インサイダー取引の疑いも
なお、ロンドン証券取引所では現地時間の24日、午後3時30分の取引終了までのわずか30分間に、アングロ株が2.8%急上昇するという不自然な動きがあった。ロイター通信が伝えている。
アングロがBHPから買収提案を受けたと発表したのは、取引終了から5時間30分経った午後11時。買収提案の情報が先に漏れ、何者かが買い注文を入れた可能性がある。違法なインサイダー取引の疑いも指摘されている。
資源業界再編のきっかけに!?
BHPは、オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州ブロークン・ヒルの鉱山で銀・鉛・亜鉛を採掘した「ブロークン・ヒル・プロプライエタリー」(1885年創業)が源流。2001年に同業の英ビリトン(1851年創業)と合併し、シドニーとロンドンに二元上場する豪・英系多国籍企業となった。
その後の資産のリストラなどを経て、18年に社名をBHPに戻した。22年にはロンドンでの上場を廃止し、本社をメルボルンに置くオーストラリア最大の企業となっている。オーストラリア産の鉄鉱石や製鉄用の原料炭に強みを持ち、ヤフー・ファイナンスによると資源企業としては時価総額ベースで世界最大。
アングロ・アメリカンは1917年に南アフリカ・ヨハネスブルグで創業。現在ではロンドンに拠点を置き、世界生産量の約4割を握るプラチナをはじめ、ダイヤモンド、銅などに強い。オーストラリア国内では、クイーンズランド州の石炭、北部準州のマンガンなどの権益を有している。資源企業としては時価総額ベースで世界14位。
■ソース
Response to announcement by Anglo American plc(GHP Group)
Rejection of BHP Proposal(Anglo American)
Anglo American share spike before bid raises questions about leaks(Reuters)