連邦政府、感染対策などに予算7.5億円
オーストラリアのマレー・ワット連邦農水相は10日、海外で感染が広がっている「H5高病原性鳥インフルエンザ」(H5 HPAI)の侵入に備え、690万豪ドル(約7億5,000万円)の予算を拠出すると発表した。同国は現時点で「H5」の感染を食い止めているが、これから南半球の春を迎えてたくさんの渡り鳥が海外から飛来することもあり、対策を強化する。
主な施策は次の通り。◇野生動物の健康状態を監視する機関「ワイルドライフ・ヘルス・オーストラリア」への感染検出支援(220万豪ドル)、◇商業的な鳥インフルワクチン接種の検討を含む養鶏業界の対応強化をめぐる非営利団体「アニマル・ヘルス・オーストラリア」への補助金提供(195万豪ドル)、◇全国で野生鳥類の感染を監視するプログラムの4年延長(110万豪ドル)、◇オーストラリアの生物検疫施策に関する啓蒙、理解促進(80万豪ドル)、◇野生動物のH5 HPAI感染の早期検出、対応の強化(58万豪ドル)など。
オーストラリアでは現在、鳥インフルの系統の1つ、H7 HPAIの感染が拡大している。今年5月からこれまでに、南部ビクトリア州の養鶏場8カ所で「H7N3」とH7N9」、東部ニューサウスウェールズ州の2カ所で「H7N8」、首都特別地域の1カ所で「H7N8」の感染がそれぞれ確認され、殺傷処分が行われている。東部などでは鶏卵が不足し、大手スーパーが販売制限に踏み切るなど影響が広がっている。
しかし、H5 HPAIについては、オーストラリアは地球上の大陸で唯一、上陸を阻止している。ワット農水相によると「我が国の強力な生物検疫制度と、世界から孤立した地理的条件によって、世界中で猛威を振るっているH5 HPAIの感染を免れてきた」という。ただ、海外から自由に飛んで来る渡り鳥を止めることはできないことから、不可抗力によるウイルス上陸に向けて準備することに決めた。
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