供給過剰で価格下落 2027年までに再検討
オーストラリアの資源最大手BHPは11日、西オーストラリア州のニッケル事業を10月から一時的に停止すると発表した。パースの北東約600キロにある複数の鉱山と製錬所「ニッケル・ウェスト事業」と、同1,300キロ北東の「ウェスト・マスグレーブ鉱山」の新規開発をそれぞれ休止する。
ニッケルは主に電気自動車(EV)などのリチウムイオン二次電池向け需要が高まっていたが、このところ供給過剰で国際価格が下落していて、赤字が膨らんでいるため操業停止を決断した。
2027年2月までに操業再開を検討する。ただ、同社は「価格は20年代後半に著しく低下するというのが、一致した見方だ」と厳しい見通しを示している。事業再開に向けて年間3億豪ドルの投資を継続するが、市況の低迷が続けば撤退する可能性が十分にある。
同社は20年度以降、30億米ドル(約44億豪ドル)を投じ、西オーストラリア州のニッケル事業のサプライチェーンを電池とEV市場向けに再構築してきた。しかし、価格低下が響き、同事業の23-24年度(23年7月〜24年6月)の利払い・税引き・原価償却前(EBITDA)損益は、3億米ドルの赤字を計上していた。
公共放送ABC(電子版)によると操業停止の影響を受ける現場の労働者は約1,600人。BHPは配置転換または離職を選べるようにする。また、2,000万豪ドルのファンドを設立し、打撃を受ける地域経済を支援する。
BHPオーストラリア部門のジェラルディーン・スラッタリー社長は声明で「ニッケルの世界的な供給過剰という大規模な経済的問題を克服できなかった。ニッケル・ウェストとウェスト・マスグレーブの一時停止という困難だが必要な決断に至った」と述べた。
■ソース
Western Australia Nickel to temporarily suspend operations(BHP)
BHP to close Nickel West mines until 2027, blaming global oversupply of nickel(ABC News)