合計700店舗以上、売上高719億円
オーストラリア大都市の一等地やショッピングモールで56店舗を展開する百貨店大手「マイヤー」が、アパレル小売大手プレミア・インベストメンツ傘下の「ジャスト・ジーンズ」など5ブランドを取得する。2社が29日、発表した。オセアニアのアパレル小売業界再編の引き金となるのか注目される。
両社の株主の承認が必要だが、実現した場合、2社によるとマイヤーは売上高40億豪ドル(約4,000億円)、利子・税引前利益(EBIT)1億5,200万豪ドル(約152億円=いずれも2社の推計)、店舗数783店と事業規模を大幅に拡大する見通し。2025年初頭までに取引を完了したい意向だ。
マイヤーが手に入れるのは、プレミア傘下のジャスト・グループが運営する7ブランドのうち、カジュアル・ファッションの「ジャスト・ジーンズ」(237店舗)、10代男女向けの「ジェイ・ジェイズ」(192店舗)、いずれも婦人服の「ポートマンズ」(92店舗)、「ドッティ」(106店舗)、「ジャッキーE」(92店舗)の5つ(合計719店舗)。2023-24年度の売上高は7億1,900万豪ドルあった。文房具を扱う「スミグル」、パジャマや室内着の「ピーター・アレクサンダー」の2つは、引き続きプレミアに残る。
ジャスト・ジーンズは1970年メルボルンで創業。買収で規模を拡大し、08年にプレミアの傘下に入った。
プレミアは現在、ジャスト・グループの全株式と、オーストラリアの家電メーカー「ブレビル」の25.5%、マイヤーの31.2%をそれぞれ保有している。オーストラリアとニュージーランドをはじめ6カ国で1,163店舗を展開し、23-24年度の売上高は16億豪ドル、税引前法定利益は2億5,790万豪ドル。アパレルの5ブランドを手放せば、投資会社としての性格が強まる。
調査会社アイビスワールドの推計によると、オーストラリア国内のアパレル小売市場のシェア(24年)は、1位が紳士・婦人服の「カントリー・ロード」(4.1%)。2位がプレミア(4.0%)、3位がカジュアル・ファッション「コットン・オン」のCOGI(3.8%)となっている。
マイヤーは創業124年の老舗百貨店で、オーストラリア国内に56店舗を展開。39店舗の同業デービッド・ジョーンズとともに高級百貨店業界を2社で寡占している。23-24年度の売上高は33億豪ドル、税引前法定利益は4,400万豪ドル。
オーストラリアの老舗百貨店は、消費者志向のカジュアル化やネット通販の普及を背景に、厳しい経営環境が続いている。非上場のデービッド・ジョーンズは14年に南ア企業に買収されたが、23年にほとんど二束三文で投資ファンドに売却された。マイヤーもわずかな最終利益をかろうじて出す決算が続いており、株価は低空飛行を続けている。
■ソース
COMBINATION OF PREMIER’S APPAREL BRANDS WITH MYER PREMIER TO FOCUS ON PETER ALEXANDER AND SMIGGLE AND THEIR GROWTH OPPORTUNITIES(Premier Investments)
MYER ANNOUNCES TRANSFORMATIONAL COMBINATION WITH APPAREL BRANDS TO CREATE A LEADING RETAIL PLATFORM ACROSS AUSTRALIA AND NEW ZEALAND(Myer Holdings)
G4251 – Clothing Retailing in Australia(IBISWorld)
G4260 – Department Stores in Australia(IBISWorld)