最近は博多ラーメンなど成功例も
モスバーガーを展開するモスフードサービスが、儲からないオーストラリア事業に見切りを付けた。モスに限らず、日本の外食産業はバブル期からオーストラリア進出と撤退を繰り返してきた歴史がある。
例えば、大阪のお好み焼きチェーン大手「千房」は1989年、ゴールドコーストに出店したがバブル崩壊後に閉店した。ミスタードーナツは90年、シドニーの目抜き通りジョージストリートに1号店を開店したが、撤退までに時間はかからなかった。
既に北米など海外進出に成功していた牛丼の吉野家も2004年、満を持してシドニーに進出した。全豪展開を目指して同市内に2店舗を出店したが、09年までに店を閉めた。セルフうどんの丸亀製麺もシドニーに出店したが、コロナ禍後に閉鎖を強いられた。
オーストラリアは先進国でも最高水準の賃金、高い家賃や出店費用など、事業コストが高い。他店舗展開の外食業で利益を出すことがなかなか難しい上に、食文化も日本や東南アジアと異なるため、海外で成功したメニューや味をそのまま持ち込んでもうまく行かないケースが多いと見られる。
ただ、近年では成功例も出てきている。力の源ホールディングスが博多ラーメンの「一風堂」を全豪に12店舗、博多一幸舎が同じくラーメン店「博多元助」をメルボルンなど7店舗、プレナスが日本の「やよい軒」を高級化した「YAYOI」をシドニーに6店舗、それぞれ展開。それらのシドニー市内の店を見る限り、いずれもピーク時には行列ができるなど繁盛している。オーストラリア人の訪日客が近年、急増していることから、帰国後も日本の本物の味を求める客層に受けている可能性がありそうだ。