農産品の輸出拡大に期待
自由貿易を推進するオーストラリア連邦政府は6日、中東のアラブ首長国連邦(UAE)との間で包括的経済連携協定(CEPA)に調印したと発表した。両国の貿易担当大臣が同日、キャンベラで合意文書に署名した。UAEへのオーストラリア輸出品目の99%の関税が撤廃される。
ドン・ファレル連邦貿易・観光相によると、協定発効の恩恵によってオーストラリアの商品輸出額は年間6億7,800万豪ドル(約680億円)増える見通しだという。連邦外務貿易省によると、UAEはオーストラリアにとって中東諸国で最大の貿易相手国。2023年の2カ国間の貿易額は約99億豪ドル、同投資額は207億豪ドルあった。
同年のオーストラリアの主な対UAE輸出品目は、「アルミニウム鉱・精鉱」(10億4,910万豪ドル)、菜種をはじめとする「油料種子・ナッツ・種子類」(7億4,120万豪ドル)、「牛肉を除く精肉」(羊肉=2億8,300万豪ドル)など。UAEの主な対オーストラリア輸出品目は、「運輸サービス」(航空運賃=29億100万豪ドル)、「肥料(原材料を除く)」(4億820万豪ドル)、「余暇の旅行」(2億900万豪ドル)などとなっている。
協定発効後、オーストラリア側の関税負担は農林水産業だけで年間5,000万豪ドル削減されるという。ファレル貿易相は関税撤廃により「オーストラリアの農業生産者にとって非常に大きな取引になる」と期待を表明した。
両国は同時に投資協定、5つの投資に関する覚書(MOU)にも署名した。CEPAは両国の批准を経て発効する。
天然資源や農産物の輸出大国であるオーストラリアは、自由貿易体制が国益に資するとの観点から、2国間・多国間の関税撤廃や市場アクセス向上を推進してきた。これまでに米国(05年)、韓国(14年)、日本(15年)、中国(15年)、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)など、主な貿易相手国・地域との間で18の自由貿易協定が発効。現在、欧州連合(EU)、インドとの自由貿易協定締結に向けて交渉している。
■ソース
United Arab Emirates Economic and Trade Data(Department of Foreign Affairs and Trade)