防衛装備品輸出成功の大型案件となるか
オーストラリア連邦政府は、海軍の次期汎用型フリゲート艦として、日本とドイツの2艦のどちらか1つを採用する方針を決めた。リチャード・マールズ連邦副首相兼国防相が25日、正式に発表した。シーレーンや豪北部を防衛するため、対潜水艦戦闘や防空の能力を高めた新型艦を配備する。
最後まで選定候補に残ったのは、三菱重工が建造する「もがみ型護衛艦」と、ドイツの造船企業「ティッセンクルップ・マリン・システムズ」の「MEKO A-200型フリゲート」の2つ。今年5月時点で手を上げていた日本、ドイツ、韓国、スペインの合計5社から、2社に絞り込んだ。もっとも日独2社の選定は、現地メディアなどが報じていて、既定路線だった。
8隻で運用している現行「アンザック級フリゲート」を新型艦に置き換える。アンソニー・アルバニージー首相の連邦労働党政権は今後10年間、前政権の計画の約2倍の550億豪ドル(約5.5兆円)を投じ、殺傷能力を持つ海軍艦船を2倍以上に増強する。新型汎用フリゲート艦の配備には、このうち100億豪ドルを費やす。
新型艦の最初の3隻は海外で建造する。4隻目以降は、西オーストラリア州パース南方ヘンダーソンの造船所で国産化する。
マールズ国防相は声明で「アルバニージー政権は、攻撃能力がより高く、より大規模な海軍の整備を推進している。新型汎用フリゲート艦はその中核を成すものだ」と指摘した。その上で国防相は「将来の海軍艦隊の規模は第二次世界対戦終結後で最大となる。通信や貿易の海上交通路を防衛する」と述べ、オーストラリア経済に不可欠なシーレーンを守り抜く姿勢を強調した。
日本はかつて防衛装備品移転(武器輸出)解禁後、日本の通常動力型潜水艦「そうりゅう型」をオーストラリアに売り込んだ経緯がある。当初はそうりゅう型が有力視されたが、2016年にフランスの潜水艦に破れた。もがみ型護衛艦の受注に成功すれば、有志国オーストラリアへの防衛装備品輸出で初の大型案件となる。
なお、フランス原潜の導入は結局、破棄されている。米英豪が21年、3カ国の安保枠組み「オーカス」(AUKUS)の下で、通常兵器搭載型の原子力潜水艦をオーストラリアに配備する計画を発表したため、フランスは一方的に反故にされた格好だ。
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