ポルトガル出身のマトス氏、来年7月就任へ
オーストラリア4大銀行の1つ、ANZ銀を運営するANZグループ(メルボルン)は9日、ポルトガル出身の銀行家、ヌノ・マトス氏を最高経営責任者(CEO)に登用すると発表した。これまで9年間、CEOを務めたシェイン・エリオット氏に代わり、来年7月3日に着任する。
発表によると、マトス次期CEOの賞与は、基本給が年間250万豪ドル(約2億5,000万円)。加えて、業績に応じて支払われる短期変動報酬(成功報酬)が最大100%(基本給の2倍)、長期変動報酬が最大135%となる。成果を出せば、5億円程度受け取れる可能性がある。
なお、物価や給与水準が異なるため単純比較できないが、三菱UFJフィナンシャル・グループの2024年3月期有価証券報告書によると、亀澤弘規・代表執行役社長の業績連動の賞与や株式を含む「連結報酬等の総額」は3億3,900万円だった。マトス氏の報酬は、日本最大のメガバンクのトップと比べて大差ない水準であることが見て取れる。
サンコープ銀統合やデジタル化に期待
マトス氏はポルトガル出身の57歳。中央銀行ポルトガル銀のアナリスト(1990〜94年)、ポルトガル・カトリック大学講師(94〜97年)、スペインの大手「サンタンデール銀」(97〜2015年)を経て、15年に香港上海銀(HSBC)に入行。21年から香港を拠点に同行の富裕層・個人向け部門のCEOを務めている。
ANZ銀は今年7月、北東部クイーンズランド州ブリスベン拠点の大手銀「サンコープ銀」の買収を完了している。ANZグループのポール・サリバン会長は、サンコープ銀の統合をはじめ、デジタル金融サービス「ANZプラス」への移行などの事業で、マトス氏の手腕を活かしたい考えだ。
サリバン会長は声明で「国際的な銀行家として高い能力と豊富な経験を持つヌノ(・マトス氏)が新CEOとしてANZ銀に加わり、私たちの経営戦略をリードしていくことを嬉しく思う」と述べた。
■ソース
Nuno Matos to succeed Shayne Elliott as ANZ CEO(ANZ Newsroom)