9会合連続で政策金利据え置き
オーストラリア生活者が待望する利下げ開始は、年をまたぐことになった。中央銀行の豪準備銀(RBA)は9〜10日に年内最後の会合を開き、政策金利を4.35%で据え置くと発表した。据え置きは昨年12月以降9会合連続。マーケットの予測通りでサプライズはなかったが、来年の利下げ開始に向けて、これまでのタカ派(金融引き締めに前向き)的なトーンを弱め、ハト派(金融緩和に前向き)寄りの姿勢を強める格好となった。
RBA理事会が公表した声明によると、インフレは2022年のピークから大幅に落ち着いてきているものの、基調インフレ率(極端な変動を除いた消費者物価指数)は3.25%付近で推移。物価目標(2〜3%)の中心(2.5%)からまだ上振れしており、インフレ水準はまだ高すぎるとの認識を示した。
一方、7-9月期の国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比0.8%増とコロナ禍を除き1990年代初頭以降で最低の水準を記録し、景気は11月時点の想定よりも早いペースで軟化していると指摘した。労働市場については「次第に軟化の兆しは見せているものの、依然としてタイト(受給がひっ迫している様子)な状態にあるとの見方を示した。
こうした状況を踏まえ、理事会は「インフレが目標に向かって持続的に低下していることにより自信を深めている」と言明した。利上げも利下げも両睨みとしていた11月の声明と比べ、ハト派寄りスタンスを強めた文言となった。
また、RBAのミシェル・ブロック総裁は会合後の会見で「インフレとの戦いに勝利したとは言わないが、状況の進展により確信を持っている」と語った。ブロック総裁は「2月に利下げを行うかどうかは分からない」と明言を避けたものの、市場参加者は来年2月または5月以降の利下げ開始に道を開いたものと受け止めている。
RBAは新年最初の会合を2月17〜18日に開く。
■ソース
Media Release – Statement by the Reserve Bank Board: Monetary Policy Decision(RBA)