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膨れ上がるオーストラリア財政赤字 国民生活への支出拡大は半年後に迫った選挙対策!?

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労働党は下野または少数政権となる可能性

 オーストラリア連邦財務省は18日、インフラや福祉などの予算増大を背景に、今後4年間の財政収支の赤字額が当初の想定より218億豪ドル(約2兆1,000億円)上振れしそうだとの見通しを公表した。

 オーストラリアでは来年5月までに、下院(任期3年)の全議席と上院(任期6年)の約半数を改選する連邦選挙が控えている。2期目の続投を目指すアルバニージー首相の与党労働党(中道左派)にしてみれば、半年以内に迫った選挙に向けて手厚い生活支援を継続することで、コスト高騰にあえぐ国民の支持をつなぎ止めたい。そんな意図も透けて見える。

 労働党は、支持率で最大野党・保守連合(自由党、国民党=中道右派)に押され気味だ。調査会社ロイ・モーガンが17日に発表した最新の世論調査結果(9〜15日実施)によると、優先順位に応じて票を配分する実際の選挙結果に近い「2大政党別支持率」は保守連合が52%、労働党が48%(いずれも前回2〜8日の調査と同じ)だった。

 また、優先順位配分前の得票結果に近い「各政党別支持率」は保守連合が41%と前回から3ポイント上昇、労働党は27.5%と0.5ポイント下落した。第3勢力の左派「グリーンズ」(緑の党)は12.5%(0.5ポイント下落)、右派「ワンネーション」は5%(1.5ポイント下落)だった。

 ロイ・モーガンは調査結果について「連邦選挙の投票がいま実施された場合、保守連合が僅差で過半数を制する可能性がある」と指摘している。

1期で政権交代はきわめて稀
ハングパーラメントの可能性も

 労働党はアルバニージー氏の下で22年5月の前回選挙に勝利し、9年ぶりに政権を奪回した。しかし、下院(151議席)の現有議席数は78と過半数の76をわずか2議席上回っているにすぎない。一方、保守連合も政権を奪い返すには現有議席55から21以上増やす地すべり的な勝利が必要で、過半数獲得のハードルは低くない。

 オーストラリアの連邦政治では、与党が最短でも2期以上政権を務めるのが常道だ。歴史を紐解くと、連邦与党が最後に1期で政権を失ったのは90年以上前の1931年にさかのぼる。仮にアルバニージー政権が次の選挙で敗北して下野した場合、戦後初の非常にレアなケースとなる。

 こうしたことから、労働党が第1党の勢力を維持するものの、議席を減らして過半数を割り、少数与党の下で「ハングパーラメント」(宙づり議会)となる可能性もある。そうなれば、欧州の多くの国や日本の石破政権と同様、不安定な政局運営を強いられることになる。

 なお、選挙結果に賭けるギャンブルのオッズ(倍率)は政権交代を織り込んでいる。ギャンブル大手「TAB」(18日時点)のサイトによると、労働党が勝利するオッズは2.2倍、保守連合は1.63倍。その他の政党は151倍(ほぼ可能性ゼロ)となっている。

 また、どちらが勝とうが、少数政権となる可能性が高いとの見方もうかがえる。勝利する政党にかかわらず「76議席を上回る政権」となる場合のオッズは2.25倍、「76議席を下回る少数政権」は1.6倍となっている。

■ソース

MID-YEAR ECONOMIC AND FISCAL OUTLOOK 2024-25(The Commonwealth of Australia)

Roy Morgan Update December 17, 2024: ALP support unchanged, Consumer Confidence & Inflation Expectations(Roy Morgan)

One-term state and territory governments in Australia(The Australia Institute)

Australian Federal Politics – Betting Odds(TAB)

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