なんとか年を越せたが、まもなく債務超過のおそれ
シドニーとゴールドコーストでカジノ統合リゾート（IR）「ザ・スター」、ブリスベンで同「トレジャリー・カジノ＆ホテル」を運営しているオーストラリアのカジノ大手「スター・エンターテインメント」が、経営破たんの危機に直面している。
スターは8日、オーストラリア証券取引所（ASX）あての声明で、2024年12月31日時点で使用可能な現金が7,900万豪ドル（約77億円）しか残っていないことを明らかにした。これまでの3カ月間で1億700万豪ドルの現金が流出したという。12月3日に新規融資枠第1弾で1億豪ドルを引き下ろし、なんとか年を越せたが、前途は多難だ。
マネーロンダリング（資金洗浄）に関与した問題でニューサウスウェールズ州カジノ委員会から支払いを命じられた罰金（総額1,500万豪ドル）をはじめ、法廷費用、融資枠獲得のための初期費用など巨額の支出が膨らみ、資金繰りが悪化している。
スターは新規融資枠第2弾の1億豪ドルの獲得を目指している。しかし、10日付の公共放送ABC（電子版）によると、資金流出が収まらず、新規融資も受けられない場合、1-3月期末までに債務超過となり、経営破たんに陥る可能性があるという。
ABCによると、投資情報会社モーニングスターのアナリストを務めるアンガス・ヒューイット氏は顧客向けの短信で「スターが破たんして株式が紙切れとなる確率は50％と見ている」と指摘した。
既に低迷していたスターの株価はシドニー市場で8日、1株当たり10豪ドルまで急落。時価総額はわずか数日でほぼ半減しており、株式市場は破たんを織り込みつつある。
■ソース
ASX ANNOUNCEMENT, UPDATE ON CASH AND LIQUIDITY, 8 January 2025（The Star Entertainment Group Limited）
