トランプ政権まもなく発足! オーストラリアの対米外交はどうなる?

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原潜導入の「オーカス」、ルビオ次期米国務長官が支持表明

米国のドナルド・トランプ次期大統領(Photo: Wikipedia)

 米国時間20日に就任するドナルド・トランプ次期大統領の政権で国務長官を務めるマルコ・ルビオ上院議員は同15日、オーストラリアへの原潜配備を軸とした米英豪3カ国の安保枠組み「オーカス」(AUKUS)について「力強い支持」を明言した。公共放送ABC(電子版)やブルームバーグ電が伝えている。

 ルビオ上院議員は米上院公聴会で発言し、オーカスについて「(トランプ)政権では非常に力強い支持が得られると考えている」と表明した。その上でルビオ氏は「2カ国、3カ国、あるいはそれ以上の同盟国とのパートナーシップのパワーをいかに最大限に高めることができるかを示すものだ。インド太平洋地域とその周辺において、地政学的、戦略的なバランスを創出する」と述べ、オーカスが地域の安定にとって重要との認識を示した。

 トランプ次期大統領はこれまでオーカスに対する考えを公表していない。このため、欧州の同盟国に対して負担増を求めるなど「米国第一」を掲げるトランプ氏が、オーカスをめぐりどのようなスタンスを採るのかが焦点となっていた。政権の外交政策の要となるルビオ氏が支持を鮮明にしたことで、オーストラリアのアルバニージー政権の対トランプ外交はひとまず1つ目のハードルをクリアしたと言えそうだ。

 オーカスは、通常兵器搭載型の原子力潜水艦をオーストラリアに配備することを主な目的にバイデン政権下の2021年に発足した。オーストラリアは30年以上にわたり3,680億豪ドルもの巨額の予算を投じ、米バージニア級原潜を購入するほか、新型原潜も共同開発する。インド太平洋で軍事力を拡大する中国を念頭に、米英豪の3カ国が連携して海の抑止力を高める狙いがある。

 しかし、自由貿易を掲げるオーストラリア政府としては、通商面では米新政権への懸念は払拭できない。「タリフマン」(関税男)を自称するトランプ氏は就任早々、大統領令でカナダとメキシコ(いずれも25%)、中国(追加で10%)の関税をかける方針だ。オーストラリアなど同盟国を含むすべての国・地域にも10〜20%の関税を導入する計画を明らかにしている。

 仮に米国がオーストラリアに一律10%の関税をかけたとしても、オーストラリアの輸出商品への直接的な影響は小さいと見られている。オーストラリアにとって輸出市場としての米国の重要性は、中国や日本、韓国などと比べて相対的に低いためだ。2国間の貿易収支も米国側の大幅な黒字となっていて、トランプ氏側から見てオーストラリアの対米輸出はまったく脅威ではない。

 ただ、間接的な影響は軽視できない。米国の対中関税の引き上げによって中国や世界の経済に打撃を与えた場合、オーストラリアの主要輸出商品である鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの輸出が落ち込み、国内景気を冷え込ませる可能性がある。

■ソース

Trump administration will back AUKUS submarines deal, says Rubio(ABC News)

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