「船外機の市場競争を著しく低下させる」と指摘

公正取引委員会に相当する競争当局「オーストラリア競争消費者委員会」(ACCC=エートリプルシー)は9日、日本の大手二輪車・船舶メーカー、ヤマハ発動機によるオーストラリアのアルミ製ボートメーカー大手「テルウォーター」への買収計画に懸念を表明した。
ACCCによると、テルウォーターはアルミ製トレーラー・ボート(車でけん引する小型ボート)の製造・供給で国内最大手。レジャー向けマリン業界では強力なブランド力を有している。
一方、ヤマハ発動機は船外機(小型ボートの船尾に取り付けるエンジン)のオーストラリア市場でトップシェアを誇り、同業の米マーキュリーや日本のスズキなどと競争を繰り広げている。
このためACCCは声明で、ヤマハ発動機によるテルウォーター買収について「オーストラリア国内の船外機卸売の市場競争を著しく低下させるだろう」と指摘。買収によって、テルウォーター製ボートとヤマハ製船外機のセット販売をディーラーに要請することが可能になると考察した。「競合メーカーはヤマハと効果的に競争することが一段と難しくなり、最終的には消費者が選べる製品や競争的な選択肢が狭まるおそれがある」としている。
ヤマハ発動機は今年4月、レジャー用車両や船外機を手がけるカナダの「ボンバルディア・レクレーショナルプロダクツ」(BRP)との間で、同社の子会社が傘下に持つテルウォーターの全株式を取得する契約を締結したと発表していた。テルウォーターの買収により、コア事業と位置付けるマリンビジネスの基盤強化を図る狙いだ。
ACCCは10月23日まで関係者からのパブリック・コメントを受け付けた上で、12月4日に買収計画を承認するかどうかを表明する予定だ。
■ソース
Yamaha’s proposed acquisition of Telwater raises competition concerns(ACCC)
豪州大手ボート製造会社「Telwater社」を買収~販売ネットワークを拡大し、マリンビジネスの基盤強化~(ヤマハ発動機)