丸紅がオーストラリアの巨大肥育場を手放した理由とは? 4万頭以上飼う生産拠点、40年近く経営

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クイーンズランド州レンジャーズ・バレー

写真はイメージです(Photo: Jason Leung on Unsplash)

 丸紅がオーストラリア北東部クイーンズランド州で40年近く経営してきた肉牛の肥育場「レンジャーズ・バレー・キャトル・ステーション」を売却した。16日、全株式を同国の同業「スタンブローク・ホールディング・カンパニー」に譲渡したと発表した。

 肉牛の肥育とは、各地の繁殖農家が育てた子牛を「フィードロット」(肥育場)に集め、一定期間、穀物を食べさせて育てる生産方法。食用肉としてのおいしさを増大させ、付加価値を向上させてから出荷する。

 丸紅がレンジャーズ・バレーに出資したのは1988年。ブラックアンガス種や、日本の和牛にルーツを持つ交雑種「WAGYU」を肥育し、加工してオーストラリア国内や海外に卸していた。国内トップクラスという4万頭以上を肥育し、肉牛生産・輸出の一大拠点となっていた。

 ただ、近年は子牛の価格高騰や対中輸出の不振で苦戦が伝えられていた。丸紅の決算資料によると、23年度20億円、24年度11億円とそれぞれ赤字が続いていた。

 丸紅は中期経営戦略で「投資の回収を促進し、創出したキャッシュを優良な成長投資に優先配分する」ことを掲げている。「今回の株式譲渡はこの戦略の一貫として実施したもの」だとしており、リストラだったことを明らかにしている。

■ソース

「豪州肉牛肥育事業に係る株式譲渡について」(丸紅株式会社)

2024年度決算IR資料(丸紅株式会社)

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