オーストラリア中銀、政策金利据え置き 2会合連続

中央銀行の豪準備銀(RBA)は4日、政策金利を3.60%で据え置くと発表した。金融政策を決める会合を3〜4日に開き、全会一致で決定した。RBAは今年2月以降、3回利下げを行っているが、据え置きは前回10月に続いて2会合連続となった。
足元のオーストラリア経済は、インフレ再燃が意識され始めている。7-9月期の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同期比3.2%と前期の2.1%から大幅に上振れした。RBAがより重視する「トリム平均値」(極端な物価変動を除いた値)の上昇率も3.0%(前期は2.7%)とインフレ目標(2.0〜3.0%)の上限に届いた。このため、据え置きは市場の事前の予測通りだった。
ただ、RBA理事会は声明で、直近のCPI上昇は州政府の電気料金補助金打ち切りによる一時的要因も大きいと説明。2026年にもう一度利下げを行うとの前提に基づき、基調インフレ率は今後数四半期のうちに3%を超えた後、27年には2.6%程度まで落ち着くとの見通しを示した。
その上で理事会は「民間需要は回復基調にあり、労働市場は依然としてややタイト(受給がひっ迫している状態)であることから、政策金利を据え置くことが適切」と判断した。
利下げはあっても来年1〜2回か
オーストラリアで主流の金利変動型住宅ローンの債務者にとって、金利の動向は家計に大きな影響を与える。利下げは返済額を減らし、手取りを増やすことにつながるからだ。手取りが増えれば消費も活発化するため、景気を刺激する効果も期待できる。
しかし、コロナ禍からの経済再開期ように金融緩和=利下げのアクセルを踏みすぎると、マネーがだぶついてインフレが止まらなくなる。物価や雇用の動向を見ながら、金利の上げ下げによってさじ加減を調整するのが中銀の使命だ。
RBAは12月8〜9日に今年最後の会合を開く。ロイター通信によると、金利先物から算出される12月利下げの確率は10%にとどまっている。利下げは打ち止めとの観測も出ている。
主要銀行のエコノミストの見方は別れている。コモンウェルス銀は今回のサイクルでの利下げは終了したと見ている。一方、ナショナル・オーストラリア銀とANZ銀はあと1回、ウエストパック銀は来年にあと2回、それぞれ来年に利下げがあると予想している。
■ソース
Statement by the Monetary Policy Board: Monetary Policy Decision(RBA)
Australia’s central bank holds rates steady, cautious about inflation(Reuters)