世界最小のペンギンが帰ってきたよ!

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オーストラリア東部の港町に30年ぶり

コガタペンギン(Photo: Christian Valls ©CC BY-SA 4.0)(注:エデンに生息する個体とは異なります)

 世界で最も小さなペンギンとして知られる「コガタペンギン」(英語名リトルペンギン、フェアリーペンギンとも)が、オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州南部にある小さな港町、エデンに帰ってきた。

 公共放送ABC(電子版)によると、エデンがあるトゥーフォールド湾周辺には、かつてコガタペンギンの群棲があったが、ペットのイヌや野生のキツネなどの外来動物に駆逐されたり、悪天候で巣が破壊されるなどしたため、1990年代以降、繁殖活動が見られなくなっていたという。

 ところが、2023年10月、約30年ぶりにコガタペンギンのひなが孵化したのが確認された。今年中頃には、2組のつがいがエデンの海辺の自然保護区で、6組が波止場の近くでそれぞれ繁殖活動を行っているのが目撃された。

 市民グループ「フレンズ・オブ・リトル・ペンギンズ・エデン」の会長を務めるウェンディー・ノーブルさんはABCに次のように語った。

「群棲が始まっているのは、非常にエキサイティングなことです。しかし、適正に保護することができるようになるまで、ペンギンたちはまだ脆弱なのです」

 コガタペンギンが戻ってきたのは、交尾をうながす音声を湾全体に流す取り組みが功を奏したと見られている。ただ、外敵が入れないように柵を張った自然保護区と違って、波止場にはクルーズ船乗り場もあり、人やイヌ、キツネが自由に入れるため危険が多い。最近もキツネに襲われたと見られる2匹のペンギンの死体が発見されたという。

 同グループやペンギン研究者、地元自治体、州政府などは、波止場周辺の巣の近くに標識や柵を設けることを検討しているほか、巣の周辺では必ずリードを付けてイヌを散歩させるよう呼びかけている。

 シドニーの自然史博物館「オーストラリア博物館」のウェブサイトによると、コガタペンギンは体長最大40センチとペンギンの仲間では最小。青みがかった背中と白い腹が特徴。オーストラリア大陸南部、タスマニア島、ニュージーランドなどペンギンとしては比較的温暖な地域に生息しており、「雪や氷より岩場やビーチを好む」という。

 主な餌は魚やイカ、小型の甲殻類。長期間、海中で生活できる能力があり、波間を漂いながら捕食したり睡眠したりする。毎年9月ごろに海岸の岩の割れ目や穴に巣を作り、オスがメスを誘い入れる。メスは2個の卵を産み、オスとメスが1〜2日おきに交代で卵を温める。

 絶滅危惧種ではないが、ニューサウスウェールズ州ではレアな動物だ。島しょ部を除く本土で群棲が見られるのは、エデンとシドニー北部マンリーの2カ所のみとなっている。

■ソース

Little penguins re-establish breeding grounds on NSW far south coast(ABC News)

Little Penguin(Australian Museum)

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