オーストラリア経済好調 7-9月期GDP、前年同期比2.1%上昇

利下げによる実質的な手取り増を期待するオーストラリア生活者にとって、「良いニュースは悪いニュース」となった。
オーストラリア統計局(ABS)が3日発表した国内総生産(GDP)統計によると、7-9月期の実質GDP成長率は2.1%(季節調整値)と前期(2.0%)から加速し、2023年7-9月期以降の2年間で最も高い伸びを記録した。
前期比の成長率は0.4%と前期の0.7%(改定値)から減速し、GDPを0.5ポイント押し下げた。ただ、これは統計上のマイナス要因となる在庫減少によるところが大きいとされる。活発な消費が在庫減少を招く場合もある。景気動向をより正確に示す国内最終需要は、GDPを1.1ポイント押し上げた。
一方、1人当たりGDP成長率は、前年同期比0.4%増だった。人口が増加しているオーストラリアでは、人口の伸びを上回る成長を続ける必要がある。
GDPは国内で創出された付加価値、おおむね国民が稼ぎ出したマネーの総額を示す。雇用統計とともに、景気動向を示す重要な経済指標の1つ。オーストラリアのGDP成長率は24年7〜9月期に前年同期比0.8%で底を打ち、過去1年間は緩やかな上昇が続いている。
利上げも排除できない!?
ABSのGDP統計部門のトップを務めるグレース・キム氏は声明で「7-9月期の経済成長は好調さを維持した。新型コロナウイルス感染拡大の収束後の平均成長率と肩を並べた」と指摘した。
景気の力強さが確認されたことで、もともと可能性が低いと見られていた年内利下げは、ますます遠のいている。中央銀行の豪準備銀(RBA)は8〜9日に今年最後の会合を開くが、政策金利を現行3.60%で据え置く公算が高い。
ロイター通信によると、経済調査会社オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのハリー・マーフィー・クルーズ氏は「RBAにとって、経済は少し良すぎるくらいだ」と述べた上で、「当面、利下げは視野に入りそうにない。インフレを早期に抑え込むために、来週の利上げの可能性も否定できない」との展望を示した。
■ソース
Australian economy grew 0.4% in the September quarter(ABS)
Australia’s annual growth hits two-year high in Q3, markets weigh risk of rate hike(Reuters)