元日付のシドニー紙に寄稿文

オーストラリアは2026年1月1日、1901年同日の連邦制移行から125周年を迎えた。これを受けて、アンソニー・アルバニージー首相(労働党)は1日付の日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」に寄稿し、英国植民地から連邦制に移行し、英連邦(コモンウェルス)の独立国家として歩んできた歴史を振り返った。その上で、公平な機会、多文化主義、手厚い福祉制度、先住民アボリジナル・トレス海峡島しょ民との和解といった「強靭な民主主義国家」としての実績を強調した。昨年12月14日にシドニー東郊ボンダイ・ビーチで発生した銃乱射テロ事件を受けて、国民に結束を訴えた。
首相はオーストラリアの歴史認識について、「本日、オーストラリア連邦は成立から125年を迎える。我々はしばしば、古代の大陸に生まれた若い国家だと自認する。しかしオーストラリアは、(注:先住民を念頭に)地球上で最も古くから連続して続く文化の故郷であると同時に、世界で最も古く、そして最も強靱な現代民主主義国家の一つでもある」と指摘した。
その上で首相は、「私たちは単に他国の制度を模倣することに満足せず、自らの考えを信じ、自分たちの道を切り拓くことに誇りを持ってきた」と主張。連邦設立当初から実現した女性参政権、義務投票制、国民皆保険制度「メディケア)、雇用主が義務を負う確定拠出年金「スーパーアニュエーション」、出身地にかかわらず移住者の共生をうたう「多文化主義」、といった先進的な制度設計や国造りの成果を強調した。
また、「フェア・ゴー」(公平な機会)の精神に基づく「公正な1日の労働に対する公正な1日の賃金」や、先住民との和解といった実績も称えた。「包摂という本能を信じるたび、差別という壁を打ち破るたび、アボリジナルおよびトレス海峡諸島民の知恵に心を開くたび、ソーシャル・デモクラシー(社会民主主義)の輪を広げ、『フェア・ゴー(公平な機会)』の意味を深めるたびに、我々は皆、その恩恵を受けてきた」と述べた。
先進諸国の平均を上回る記録的な長期成長といった現在の経済的繁栄には言及せず、中道左派・労働党の理念である「社会民主主義」をあえて打ち出したのは、首相のリベラル色を色濃く反映した格好だ。
同国史上最悪の犠牲者15人を出したボンダイ・ビーチ銃乱射テロ事件については、「オーストラリアのユダヤ人コミュニティーへの攻撃は、我が国がテロリズムや過激主義の悪から免れていないことを示す痛ましい証拠だ」と総括。「我々の課題は、反セム主義(反ユダヤ主義)という脅威に、オーストラリア人としてともに立ち向かい、打ち勝つことだ。国家としての品格が試されるこの局面において、我々は国家の最良の価値観に忠実でなければならない」と国民に呼びかけた。
首相は、国章に選ばれたカンガルーとエミューについて「どちらも後ろに進むことはなく、前にしか進まない。オーストラリアと同じように」と語り、寄稿文を締めくくった。
■ソース
On our 125th birthday, let’s rise to our national character(Prime Minister of Australia)