「政府と産業界の二人三脚で生産性向上を」と中銀副総裁

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のアンドリュー・ハウザー副総裁は11日、シドニーで開かれた豪商工会議所(ACCI)の昼食会で講演した。公共放送ABCによると、ハウザー副総裁は講演の中で、インフレ圧力の要因の1つとなっている「供給制約」を解消するには、「生産性向上」が欠かせないとの考えを改めて示した。また、生産性向上は「政府の仕事であると同時に、産業界の仕事でもある」と述べ、積極的な民間投資を促した。
強い需要に対してモノとサービスの供給が追いついていない状況が、インフレ圧力を高めている。
こうした問題の解決策として、副総裁は生産性向上を挙げ、「豪州では近年、投資拡大が極めて低調だ。政策的な理由もあろうが、これは官民のパートナーシップの問題だ」と述べ、企業の設備投資や技術革新の遅れが、生産性停滞の一因になっているとの見方を示した。
旺盛な需要に供給が追いつかない
RBA理事会は利上げを決めた3日の声明でも、インフレ増大の要素の1つとして「供給制約の拡大」を挙げていた。一方、ジム・チャーマーズ連邦財務相はこの日、物価高対策や減税、財政の強化とともに「長年の生産性向上の課題」に注力する考えを強調した。
足元のオーストラリア経済は、人口増や景気回復を背景に増している需要に対して、供給が不足していることが物価を押し上げている。これが「供給制約」だ。
例えば、スーパーで食パン一斤が3.5豪ドルで売られていたとする。パンを食べたい私たち消費者の需要に対して、パン工場や小麦の生産が足りなければ、価格に上昇圧力がかかる。半年後には3.8豪ドル、1年後には4豪ドルと値上がりしていくかもしれない。
しかし、パン工場に自動化機械を導入して作業効率を上げたり、収穫率の高い小麦の品種を開発したりといった「生産性向上」が進めば、供給能力が増えて需要との落差が縮まり、インフレ圧力が縮小する可能性がある。
生産性の伸びはスローダウンしている
ところが、オーストラリアでは長年にわたって労働生産性の向上が進んでいない。供給制約を引き起こし、インフレを誘発する主な要因の1つとなっている。豪統計局(ABS)によると、指標となる過去20年間の労働生産性(1時間当たりの国内総生産=GDP)の成長率は、03-04年度の1.8%から22-23年度には0.8%まで鈍化。特に過去10年間は減速傾向が著しくなっている。
また、RBAの金融政策報告書によると、直近の企業設備投資のGDP比率は長期平均を下回る水準にとどまる見通しだ。民間投資の弱さも、生産性が伸び悩む要因の一つと指摘されている。
中央銀行は金融政策(利上げ)で需要を抑制し、インフレ圧力を下げることはできるが、供給制約を和らげる生産性向上を達成することはできない。ハウザー副総裁は、インフレ抑制には中銀の金融政策だけでなく、政府の構造改革や成長戦略に加えて、民間投資の拡大による生産性向上が欠かせないとのメッセージを改めて示した格好だ。
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