
米・イスラエルによるイラン攻撃で、景気の先行きに不透明感が増す中、中央銀行の豪準備銀(RBA)は17日、追加利上げを決めた。ガソリン価格の上昇と住宅ローンの返済負担増で、家計はダブルパンチを受けている。だが、ミシェル・ブロックRBA総裁はこの日の会見で、リセッション(景気後退=2四半期連続のマイナス成長)を織り込んでいるとも取れる発言を行っている。
ガソリン代、月平均8,100円増
ホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響で、オーストラリア国内のガソリン価格は目下、急上昇している。オーストラリア・ペトロリアム研究所(AIP)によると、ガソリン小売価格は15日まで1週間の全国平均で、1リットル219.5豪セントとイラク攻撃前から21.3 %上昇した。
オーストラリア自動車協会(AAA)によると、1家庭のガソリン代は大都市圏の平均で1カ月当たり約360豪ドル(2024年)だった。価格が2割上昇した場合、月々の負担は72豪ドル(約8,100円)増える計算になる。
住宅ローン返済額、月平均2万4,000円増
また、公共放送ABCによると、金融機関が中銀の利上げに連動して住宅ローン金利を引き上げた場合、借入金70万豪ドルの標準的なケースでは、1カ月当たりの返済額は106豪ドル増える。2月の利上げ分を足せば、今回の局面での累積の負担増は同211豪ドル(約2万4,000円)となる。
オーストラリアでは全世帯の3分の1強が住宅ローン返済中だ。しかも住宅ローンの大半が金利変動型であるため、金利動向が景気に与える影響は大きい。
家計が燃料費と住宅ローン返済額の負担増で打撃を受け、その分、国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費が落ち込めば、インフレと景気後退が同時進行するスタグフレーションの懸念も払拭できない。
中銀はあえてタカ派スタンス鮮明に
それでもRBAは、リセッション(景気後退=2四半期連続のマイナス成長)突入さえ辞さない覚悟なのか?ブロック総裁は17日、会合後の会見で次にように述べた。
「完全雇用の達成、投資(の拡大)、労働生産性(の向上)に対して、私たちができる最善の貢献は、低く安定したインフレを実現することだ。だから、私たちはその目標(インフレ抑制)に集中しなければならない。私たちはリセッションを望んでいない。しかし、インフレ抑制が難しければ、それ(リセッション)に対処しなければならない可能性がある」
中東情勢の激変で景気の見通しが混迷する中、あえてタカ派(金融引き締め)スタンスを鮮明にしたブロック総裁。全力で粘着力の高いインフレを抑え込みたい考えだ。
◼️ソース
Statement by the Monetary Policy Board: Monetary Policy Decision(RBA)