
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は1日夜、ホルムズ海峡閉鎖に伴う燃料危機をめぐり、国民に直接語りかける約3分20秒のテレビ演説を行った。燃料税の半減や大型車両の道路利用税撤廃などのこれまでの施策を説明した上で、任意の節約を国民に願った。特に新しい政策の発表はなかった。現時点では、コロナ禍のロックダウンのような強制力を伴う施策には踏み込まなかった。
首相は「必要以上に燃料を買いだめしないで」と述べ、可能な場合は鉄道などの公共交通機関で通勤するよう呼びかけた。軽油が不可欠な農業や鉱業、看護などのエッセンシャル・サービスに従事する人を支援するとしている。
その上で首相は、最悪の事態から国民を守るため最大限に努力することを約束した。
演説全文の日本語訳は次の通り。
アルバニージー首相テレビ演説(1日)
オーストラリア国民の皆さん。
私たちの国は、もともと前向きで楽観的な気質を持っています。
けれど、今は前向きな気持ちを保つのが難しいと感じている方も多いと思います。
中東での戦争によって、ガソリンや軽油の価格は、これまでにないほど大きく上昇しています。
オーストラリアはこの戦争に直接関わっているわけではありません。
それでも、その影響で、すべての国民がより高い出費を強いられています。
ガソリンスタンドでも、スーパーでも、皆さんがその影響を感じていることは、よく分かっています。
農業生産者やトラック運転手の皆さん、中小企業、そして多くの家庭が、いま厳しい状況に置かれていることも理解しています。
そして、現実として、この戦争がもたらした経済的なショックは、これから数か月にわたって私たちに影響を及ぼし続けるでしょう。
今夜は、こうした不確かな時代の中で、政府がオーストラリアを守るために何をしているのかを、皆さんに直接お話ししたいと思います。
同時に、今後、私たち一人ひとりが国のために、お互いのために助け合えることについても、お伝えしたいと思います。
<これまでの施策についての説明>
全国内閣会議(注:連邦首相と各州・準州のリーダーの会議)は月曜日、「国家燃料安全保障計画」を採択しました。
政治的立場の違いを越えて、全国のリーダーが力を合わせ、オーストラリアが持続できるよう、備えるためです。
世界情勢がさらに悪化し、燃料供給が長期的に大きく途絶えるような事態になった場合でも、私たちは連携して次のステップに進みます。
本日、政府は燃料税を半分に引き下げました。
ガソリン1リットルあたり26セントの減税です。
その効果は、すでに皆さんが利用しているガソリンスタンドの価格にも表れ始めています。
また、トラック運転手の皆さんの負担を軽減するため、大型車両の道路利用料をゼロに引き下げました。
これらの措置は、今後3か月間実施されます。
私たちは燃料価格を引き下げるための取り組みを進めています。
国内でより多くの燃料を生産し、それを国内に確保します。
さらに、周辺国・地域との強い貿易関係を活かして、オーストラリアにより多くのガソリンと軽油、肥料(注:窒素肥料は天然ガス、尿素肥料は天然ガスや石油製品からそれぞれ生産されるため、肥料不足が食糧生産に与える影響も懸念されている)を調達することにも取り組んでいます。
<オーストラリア国民への「お願い」>
オーストラリア国民には「自分にできることで協力したい」という気持ちがあります。皆さんにもできる簡単なことはいくつかあります。
まず、これまでどおり、普段どおりの生活を送ってください。
イースター(復活祭)休暇もどうぞ楽しんでください。
もし車で出かけるなら、必要以上に燃料を買いだめすることはせず、普段どおりの量を給油してください。
そして、地域のほかの人々、地方や社会にとって不可欠な産業で働く人々のことを考えてください。
これから数週間、もし可能であれば、通勤手段を(自家用車から)電車やバス、路面電車に切り替えてください。
そうすれば、備蓄を増やすことができ、どうしても車を使わなければならない人たちのために、燃料を節約することができます。
農業生産者の方々、鉱山で働く人々、現場で働く職人さんたち――。毎日、軽油が必要な人たちのために。
そして、看護師やシフトワーカーといった、私たちの社会を支えてくれている多くの人々のためにも。
<今後の見通しと心構え>
これからの数か月は、決して楽なものではないかもしれません。
そのことは、率直にお伝えしておきたいと思います。
政府は、この戦争がもたらしている負担を完全になくすことができると約束できません。
しかし、オーストラリアが最悪の事態から守られるよう、政府としてできる限りのことを行います。私はそのことをはっきりとお約束します。
いまは不確かな時代です。
しかし、これだけは確信しています。私たちは、こうした世界的な困難に、オーストラリアらしいやり方で立ち向かっていきます。
力を合わせ、お互いを思いやりながら。
私たちが今までもそうしてきたように。
ありがとうございました。おやすみなさい。
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