
オーストラリアでは例年、冬に向けてインフルエンザ(influenza/flu)が流行しますが、今年は既に流行の兆しが早く見られています。2026年1月の全国報告数は約2万件以上とされ、前年1月(約1万件前後)と比べておよそ2倍に増加しています。
通常は6月頃からピークを迎えますが、今年は動きが早いため、3〜4月の早めのワクチン接種がこれまで以上に重要とされています。特に学校や職場など人との接触が多い人は、流行前に備えておくと安心です。
注射じゃないワクチン?新しい選択肢

今年から、オーストラリアでは鼻にスプレーするタイプのワクチン(FluMist®)が新たに導入されました。針を使わず、鼻にスプレーするだけで接種が完了するため、特に子どもにとって受けやすい方法です。接種は薬剤師またはGPが行い、左右それぞれの鼻に1回ずつスプレーするだけで、数分で終わります。注射に比べて心理的な負担が少なく、「毎年泣いてしまうから接種を迷っていた」という家庭にとっては大きなメリットです。
また、薬局によっては予約なしで受けられる場合も多く、思い立った時に立ち寄れる手軽さも特徴です。
<対象>
・2歳〜18歳未満
※妊娠中や、免疫が低下している人には適していません
NSWでは2026年から、2〜5歳未満の子どもに対する無料接種は主にGPで実施されます。薬局での提供は在庫や体制により異なるため、事前に確認しておくと安心です。
鼻スプレータイプに加えて、現在使用されている主なワクチンについても見ていきましょう。
主なワクチンと対象・費用(NSW)

インフルエンザ・ワクチンは、年齢や健康状態に応じて医療従事者が適したものを選択します。自分で種類を選ぶというより、「その人に合ったものが案内される」というイメージです。
Vaxigrip/Influvac/Fluzone(標準タイプ)
もっとも一般的に使用されるワクチンで、多くの人が対象になります。
<対象>
・生後6カ月〜64歳(※薬局での接種は主に2歳以上)
<費用>
・NIP対象者:無料
・それ以外:約20〜30ドル
「まずはこれ」として案内されることが多い、基本となるワクチンです。
Flucelvax(細胞培養ワクチン)
細胞培養ワクチンで、持病があるなど特定の人を対象に使用されます。
<対象>
・生後6カ月〜64歳(※薬局での接種は主に2歳以上)
<費用>
・5歳以上の持病、妊娠、先住民などNIP対象者:無料
・それ以外:約20〜30ドル
健康な一般成人では有料になることが多い一方、リスクがある場合は無料になる点が特徴です。
Fluad(高齢者向け)
65歳以上向けに設計された不活化ワクチンで、より強い免疫応答が得られるよう工夫されています
<対象>
・65歳以上
<費用>
・無料(NIP対象)
重症化リスクの高い高齢者にとって、重要な予防手段となります。
FluMist(鼻スプレー)
針を使わない新しいタイプのワクチンです。
<対象>
・2歳〜18歳未満
<費用>
・2〜5歳(GP):無料(NSW州プログラム)
・それ以外:有料の場合あり
注射が苦手な子どもにとって、選択肢が広がった点は大きな変化といえます。
ポイント
・ワクチンは医療従事者が判断して提供
・「無料対象かどうか」を知っておくことが大切
無料になる人(NSW)
以下に当てはまる人は、薬局またはGPで無料接種(NIP – National Immunisation Program)が可能です。
・生後6カ月〜5歳未満(薬局では2歳以上)
・65歳以上
・妊娠中の方
・アボリジニ及びトレス海峡諸島民
・心疾患、糖尿病、呼吸器疾患などの持病がある方
※州ごとに制度は異なります(例:QLDでは全員無料など)
薬局での受け方
インフルエンザ・ワクチンは、GPだけでなく薬局でも接種可能です。
<流れ>
・予約またはウォークイン
・簡単な問診
・接種→15分待機
忙しい人でも、買い物や仕事帰りに立ち寄って受けられるのが大きなメリットです。
<接種のタイミングと注意点>
・接種後、約2週間で効果が出始める
・今年は流行前(3〜4月)の接種が重要
・他ワクチン(COVID-19など)と同時接種可能
また、初めて接種する子ども(特に9歳未満)は、4週間あけて2回接種が必要になる場合があります。接種歴が不明な場合は、薬局やGPで確認してもらうと安心です。
今年は“早め+対象の確認”を
2026年は流行が早く、新しいワクチンも登場しています。自分や家族が無料対象かどうか、そして早めに接種することが大切です。
薬局やGPを上手に活用し、事前に準備することで、安心して冬を迎えることができます。

Profile
鐵池めぐみ(カナイケメグミ)
薬剤師。シドニー大学薬学部卒業後、オーストラリア薬剤師国家資格を取得。シドニー及び南オーストラリア州の大学病院で、がん治療を中心とした臨床薬学に20年以上従事。現在は、がん治療の研究に携わる傍ら、薬局を拠点に英語と日本語で薬の相談や服薬支援を行っている。
Email: megkanaike@gmail.com