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家庭内暴力(DFV)と子ども/QLDで安全・快適ライフ

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QLDで安全・快適ライフ 第69回
家庭内暴力(DFV)と子ども

 「家庭内暴力(Domestic Family Violence)」の種類や内容については過去の記事をご参照ください。今回は、お子さんを抱えて家庭内暴力に耐えていらっしゃる人のために、家庭内暴力が子どもに与える影響についてご説明します。これは暴力行為が子どもに直接的には及んでなくとも、精神を蝕(むしば)むというケースです。実際に以下のような事案があります。

 父親が母親に対して言葉による暴力を行い、母親の地位や人格を矮小化(わいしょうか)しているのを見ていた男の子が、次第に母親をばかにするようになり、母親は父親と子どもから言葉や態度などによる暴力を受けるようになったーー。

 逆に子どもが味方になってくれるケースも多くあります。しかし、どちらのケースでも子どもへの精神的な影響は大きいものであると考えられます。多くの家庭内暴力の加害者は、子ども時代に家庭内暴力のある家庭に育った場合が多いという調査結果もあります。このような負の連鎖を断ち切らなければいけません。

 1歩を踏み出す勇気、これはとても重要です。しかし、子どもがいて1歩を踏み出す場合には、慎重にならざるを得ません。まず、日本に帰国する選択の場合、日本と豪州は、子どもの連れ去りに関する「ハーグ条約」という国際条約を批准しています。それは簡単に言えば、「16歳以下の子どもを、相手の同意がなく通常住んでいる国から違う国に移した場合、申請があれば国は元の国に子どもを返さないといけない」という国際条約です。

 ですから、相手が悪いからといって勝手に子どもを日本に連れ帰ってはいけません。将来的に豪州の家庭裁判所で養育権の裁判上、自身が不利になる場合があります。きちんと家庭裁判所で養育権を担保した上で、日本に帰国する際も裁判所を介して行うべきでしょう。

 警察は原則、犯罪に関してはお答えできますが、その他の案件に関してはお答えできません。最寄りのリーガル・エイド(Web: www.legalaid.qld.gov.au)または、コミュニティー・リーガル・センター(Web: communitylegalqld.org.au)にお問い合わせください。

◎無料各種相談会―Coffee with officers
 7月1日、サーファーズ・パラダイスの居酒屋「うまかもん」で午後3~5時、各種無料相談会を実施します。詳細ご希望の方は、日本語で以下のメールにお問い合わせください。
Email: 4035484@police.qld.gov.au

このコラムの著者

平野尚道

平野尚道

QLD州警察ゴールドコースト(GC)地区・日本担当リエゾン・オフィサー。GC日本人会会長を8年務める。移民サポート非営利団体MCCGCで異文化育成担当を9年務めた後、現職。2009年に在ブリスベン日本国総領事館より在外公館長表彰、14年にGC市オーストラリア・デー文化功労賞を受賞

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