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カエルの大量死/オージー・ワイルドライフ診療日記

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オージー・ワイルドライフ診療日記 第91回
カエルの大量死

カランビン野生動物病院に保護された、痩せて皮膚に斑点ができているカエル
カランビン野生動物病院に保護された、痩せて皮膚に斑点ができているカエル

 気温と水温が低く、降水量も減ってしまう冬の間、カエルの活動量はめっきり少なくなります。餌となる虫の数も減ってしまうため、毎年一番寒くなると言われる時期が来ると、不特定多数のカエルが死んでしまいます。作物網に引っ掛かってしまったり、ペットの犬や猫によって傷付けられてしまった場合と違い、あくまでも自然の摂理と言えるでしょう。しかし、この冬は何か違う現象が起きているようです。

 例年になく、冬の間もたくさんのカエルが保護され、カランビン野生動物病院で治療を受けています。その半数が、傷や病気などは見当たらず、季節柄少し痩せてしまっている他は問題がないカエルたちです。新型コロナウイルスによる行動制限で人びとが自宅で過ごす時間が増え、庭に生息するカエルの様子や変化に気が付きやすいというのが1つの要因と考えられます。病気やけががないカエルたちは、病院で電解質の水分補給と餌のコオロギが与えられ、すぐにリリースされます。

 残りの半数は、瀕死の状態で保護されたり、何匹も同時に死んでしまっているところを発見されています。ひどく痩せ細ってしまっているだけでなく、皮膚が赤くただれていたり、異常に剥けていたりします。死んでしまったカエルの皮膚や組織はホルマリン液や冷凍庫で保存され、検査に出されます。同じような状態のカエルが何匹も発見され、感染症や毒物などを疑っていた数週間後、オーストラリア野生動物健康記録所(Australian Registry of Wildlife Health)からの通達で、QLD州、NSW州、VIC州の沿岸部広くにわたってこの現象が起きていることが分かりました。

 世界中で多くの両生類を絶滅の危機に陥れてきたツボカビ症という真菌性の感染症が疑われていて、カランビンを含む野生動物病院や政府機関が連携して調査を続けています。様子がおかしいまたは、死んでしまっているカエルを見つけたら、近くの動物病院、野生動物病院、野生動物保護団体などに連絡してください。

このコラムの著者

床次史江(とこなみ ふみえ)

床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。小動物病院での勤務や数々のボランティア活動を経て、現在はカランビン・ワイルドライフ病院で年間1万以上の野生動物の保護、診察、治療に携わっている。シドニー大学大学院でコアラにおける鎮痛剤の薬理作用を研究し修士号を取得。

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