FPキョウコの
暮らしに役立つパーソナル・ファイナンス講座
オーストラリア生活に役立つお金の知識をファイナンシャル・プランナー(FP)吉住京子氏が解説。
日本とオーストラリアの年金システム(2)
前回からお話している年金のシステム。今回は日本とオーストラリアの社会保障協定をご紹介し、皆さんがどのように年金をもらえるのかを説明していきます。
これは日本とオーストラリアが共同で責任を持って年金を支払うという協定で、在住年数が足りなかったり、海外在住によって年金がもらえないということを防ぐものです。
オーストラリアでは10年の在住期間が求められます。一般的にはオーストラリアの年金はオーストラリアにいる間に申請をする必要があります。しかしこの協定によって両国どちらに住んでいても申請することができます。申請は受給年齢の3カ月前から開始することができます。申請日からの支払いになりますので、これは早めに手配しておくのが大切ですね。
日本からオーストラリアの年金をもらう場合は、4週間に1度、日本円で日本の銀行に振り込まれます。オーストラリアにいる場合は隔週払いになります。また、日本からの年金はオーストラリアの銀行に振り込まれます。
もしオーストラリアを出国した場合、オーストラリアの年金はもらえるのでしょうか? もらえますが、年金の支払い金額は以下の2つの要因によって変わります。
1)16歳から年金受給年齢になるまでに何年オーストラリアに住んでいたか
2)どれだけ資産と所得があるのかの資産・所得テストの結果
16歳から年金受給年齢までのうち35年オーストラリアに住んでいる期間があればもらえるべき金額の年金が100パーセントもらえますが、もし20年しか住んでいなかったということであれば20/35となり57パーセント分の受給となります。また、資産テスト、所得テストをパスする必要があり、テストの結果、年金が減ることがありますのでご注意を。
オーストラリアに暮らしていて日本の年金をもらう場合はどうなるでしょうか? オーストラリアでの在住年数が足りていない場合は、日本からの年金分が差し引かれてオーストラリアの年金が支払われるようになります。10年の在住年数が足りている場合は、日本からの年金は所得としてカウントされ、オーストラリアの年金は減らされません。しかし所得があるということで日本からの年金は所得テストにはカウントされます。
吉住京子
在豪日本人ファイナンシャル・プランナー/モーゲージ・ブローカー。クライアントそれぞれの状況に合わせた賢い戦略の提供に定評がある。在豪日系コミュニティーのためのチャリティー活動や各メディアでの連載記事・セミナーなども行っている。
(Web: sakurapartners.com.au)