5月選挙をにらんだ「利益誘導」予算案

SHARE

燃料税割引や生計費補助金の一時的措置

3月29日、連邦政府のジョシュ・フライデンバーグ財相の発表した2022/23年予算案は、燃料税率短期引き下げや1回限りの生計費補助金その他有権者の利益誘導策とも理解される一時的措置があるが、財政赤字は今後少なくとも10年は続くと予測している。

ABC放送(電子版)が伝えた。

この予算案には、要望の出ていた自動車燃料税の減率を半年間の期限で実施することや1回限りで生計費補助金などが盛り込まれている。

2年間のコロナウイルス・パンデミックの後に原油価格上昇があり、さらにロシアのウクライナ侵略に対する経済制裁として国際的にロシア産の原油・ガスの輸入禁止措置が取られるなど、1リットルあたり2ドルを超える自動車燃料価格が平常化する可能性がある。自動車燃料価格の上昇はすべての生活必需品の値上がりにつながり、インフレは現在既に中銀の目標値を超えている。これに対して、予算案では4月に$250の非課税生計費補助金が600万人に支払われることになっている。補助金対象になるのは年金受給者、福祉金受給者、コンセッション・カード所持者となっている。また、現在1リットル当たり44セントの自動車燃料税が6か月間22セントに引き下げられる。この措置は3月29日真夜中から実施されるが、給油所でドライバーの買う燃料の価格が下がるのは2週間先になるとされている。この減率措置のため国家財政には30億ドルの負担となる。

一方、財政赤字は2026年には8,640億ドルでピークを迎え、その後徐々に低下していくと推算されている。

また、実質賃金は全体として停滞が続くと予想され、賃金上昇率は辛うじてインフレ率に先行する程度とみられている。ただし、2022/23年度予算案では、生計費が4.25%のペースで上昇しているため、実質賃金はむしろ低下すると予測している。

フライデンバーグ財相は、「ご存じのように、ヨーロッパでは戦火が続いており、世界的にパンデミックも終わっていない。また、国内的には洪水が甚大な被害をもたらしている。先行きの見えない時代になっている」と暗い予想を語っている。
■ソース
Cheaper fuel and one-off cost-of-living payments in federal government’s pre-election budget

SHARE
Google Adsense
[the_ad_placement id="single-new-bottom"]