
シドニー各所で行われているイベントを不定期リポート!
テキスタイルの新しい表現を展示
宝島染工――大籠千春氏・吉田真菜氏インタビュー

シドニー市内ジャパンファウンデーションで、8月24日~10月27日まで開催された日本のテキスタイル・アーティストの作品展示会「The Intuitive Thread」。同展示会プログラムの中のトーク・ショー及びワークショップのため来豪した、宝島染工の大籠千春氏と吉田真菜氏。両氏が在籍する宝島染工は福岡県に拠点を置く、全て天然染料を用いて手作業で染色を行う工房であり、独自の衣料品や繊維製品などを扱う他、数多くのアパレル・ブランドのOEM(他社が開発した製品やサービスを製造、販売する企業のこと)を手掛ける。両氏に染色作業、天然染料へのこだわりなど、話を伺った。(取材・文=高坂信也)
――海外での展示は何回目ですか?
大籠千春氏(以下、大籠):3回目です。初回、2回目はオランダ・アムステルダムで「MONO JAPAN」という合同展示会に参加しました。その際に世界中のキュレーターの方たちに展示を見て頂けました。
吉田真菜氏(以下、吉田):アムステルダムでは2014年と15年の2回、展示させてもらいました。今回は、京都在住のオーストラリア人でキュレーターのエリーズ・ラプ(Eloise Rapp)さんに私たちのアートワークをご覧になって頂いたことがきっかけで依頼を受け、シドニーでの展示が実現しました。
――日本のテキスタイルのどういった点が海外で評価されていると思いますか?


大籠:「工芸」「クラフト」「伝統工芸」のいずれにも言えることだと思いますが、作った物に敬意を持ってくれる方は世界中に存在しています。私たちが作っている物は、その点からもユニバーサルなプロダクトだと感じています。しかし、作り手の数は減少傾向にあり、これは日本に限らず世界中で起きている現象です。そのため、作品を手に取る人からは手作業だったり天然染料のみで中量生産していること自体に新鮮な驚きを持って頂き、またクオリティーの高さを口にして頂けます。オランダでもオーストラリアでも文化レベルが近くなるほど、私たちを“貴重な人たち”だと認識してくれていることを感じますね。
――フェイスブックにワークショップの際に使用する染色の材料を探しにマーケットに出掛けたとの投稿がありました。何か良い物は見つかりましたか?
大籠:私の考えですが、ワークショップでは皆さんに「色が褪せたら台所で自分で染めたら良いんだよ。自分の色は自分で考えられる」というようなハウツーを持ち帰ってもらいたいです。ですから、現地で特徴があって、日常的に手に入れやすい物を提示したいなと思っています。今回は、ミントの葉とタマネギの皮を使用することにしました。
――宝島染工では衣料品の製作が多いと思われますが、ファッションとしての天然染料の立ち位置はどこにあるのでしょうか。
大籠:数あるコンテンツの1つだと思っています。天然染料が100%良い、それでなければいけないとは全く思いません。天然染料には化学染料とは違う個性があり、成り立ちも異なるので、適切な場所で買いたい人が買える、という機会を提供し続けることが大事だと考えています。だから、天然染料であることは1つのサービスであり、技術提案ですね。
――染色作業で心掛けていることを教えてください。
大籠:「こういう表情にしていく」「仕上がりはこうするんだ」という最終目標があまりぶれないようにすることです。顧客と私たちの認識のズレがストレスにならないよう気を付けています。
吉田:天然染料による手染めのにじみなどは味であり、面白いところです。ただ、商品としてお届けする以上、求められているレベルまで上げていくのが技術であり、最低限必要なことだと思います。全ての染料や生地に対してテストを繰り返し、都度データを取っているので、何回染めるとこの色になるというような基準値はありますが、その時々の環境や条件によって臨機応変に対応しなければならないところが楽しさであり、難しさでもありますね。
宝島染工
■住所:福岡県三潴郡大木町横溝2068-1
■Email: info@takarajimasenkou.jp
■Web: www.takarajimasenkou.com