西豪州と北部準州を除く全国送電網で
豪州の全国エネルギー市場(西オーストラリア州と北部準州を除く)で19日、太陽光の発電量が石炭火力を一時的に上回る局面があった。公共放送ABC(電子版)は「再生可能エネルギーの未来を垣間見た瞬間だった」と伝えている。
エネルギー・コンサルタント会社「エナジー・エッジ」によると、同日正午ごろの約30分間、発電量の割合は太陽光が約40%、石炭火力が約38%と逆転した。続いて発電量が多かったのは、風力、水力、ガスの順だった。再生可能エネルギーは全体で約60%に達した。通常時は石炭火力が最大で80〜90%を占めているという。
太陽光が石炭火力を上回ったのはこれまでも例があるが、石炭火力発電所の停止などの非常時以外に起きたのは史上初だという。エナジー・エッジのジョシュア・スタブラー氏は「平常運転時に石炭火力が発電量1位の座から引きずり下ろされたのは、今回が初めてだ」と語った。
同氏によると、太陽光発電に最適な晴天に加え、電力需要を圧迫しない適度な気温に恵まれる9月〜10月と3月〜4月は、太陽光が主役を務めるケースが今後、増えそうだという。太陽光で発電された電力の多くは、大規模ソーラー発電ではなく、家屋の屋根に設置されたソーラーパネルから出力された。
ただ、ソーラーパネルは悪天候時に出力が落ち、日没後は発電できないため、24時間365日安定して発電し続けることができる「ベースロード電源」にはなりえない。夜間は引き続き石炭火力発電が電力供給の大半を担っている。
しかし、リベラル系シンクタンク「オーストラリア・インスティテュート」のリッチー・マージアン氏は、太陽光由来の電力をより効率的に分散できる送電ネットワークの構築が、再エネ促進の鍵を握ると見ている。同氏は「送電網をうまく構築できれば、再エネが電力需給のギャップを埋め、同時にエネルギーコストを低く抑えることができる」と主張している。
連邦政府は、総額200億豪ドルの予算を投じ、再エネに最適化した全国送電ネットワークを整備する計画だ。
■ソース
Solar briefly overtakes coal in Australia as number one source of power nationally(ABC News)