英連邦56カ国のうち15カ国が、今も英国王を君主に
オーストラリアの首都キャンベラで11日、「王位継承の布告」が発布された。これに伴い、エリザベス英女王が死去したため10日に即位したチャールズ新国王が、オーストラリア国王(国家元首)に正式に就任した。
独立した主権国家であるオーストラリアの国王を英国王が務めるのは、なぜなのか?それは、オーストラリアは1901年の連邦成立から120年あまりを経た今もなお、英国の旧領土が加盟する「コモンウェルス」(共栄圏=英連邦)の一員であり、憲法で英国王が国家元首を務めることが定められているためだ。
英国は19世紀に屈指の覇権国となり、世界各地に植民地を建設。その後独立した国家の多くが、英連邦に加盟している。現在の加盟国56カ国のうち、オーストラリアやニュージーランドなど15カ国が現在も英国王を国家元首としている。オーストラリア国旗に英国旗「ユニオンフラッグ」が描かれているのも、英国植民地としての歴史の名残だ。
とはいえ、本国の英国と同様、国王は憲法上の象徴的な元首であり、政治に介入することはない。国王の代理人である連邦総督は憲法上、首相の任命・罷免、法案裁可、上下両院の解散などの権限を持つが、首相の助言に基づいて執行する。事実上の名誉職で、政府が指名し、国王が任命する。オーストラリアで著名な元軍人や法律家、学者などが就くケースが多い。
ただ、1975年には当時のジョン・カー連邦総督が、政治的な混乱を回避するため、憲法規定に基づいてゴフ・ウィットラム首相(当時)を罷免するという異例の事態が起きている。