オーストラリア南部一帯で洪水被害拡大
オーストラリア南部のビクトリア(VIC)州とタスマニア(TAS)州、南東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州の広い範囲で、洪水の被害が拡大している。合計数千人に避難命令が発令された。14日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。
VIC州の中心都市メルボルンでは、中心街に近い市内北西部を流れるマラバノン川(Maribirnong River)が氾濫し、70世帯に避難命令が発令された。道路には冠水した車が放置され、ボートによる救出活動が行われている。緊急事態サービス(SES)によると、約100棟の住宅が浸水しているという。
また、同州内陸部では過去200年で最大規模の洪水が発生している。ゴールバーン川(Goulburn River)が氾濫した同州中部の町、セイモアでは住宅約300棟が浸水。警察がボートで取り残された住民を救出している。このほか、州内の広い地域で停電や道路の浸水、休校などが相次いでいる。
VIC州のアンドリューズ州首相は、約50年ぶりの降水量を記録している地域もあり、来週にかけてさらに大雨の予報が出ていることから、今後6〜8週間は洪水の被害に備える必要があるとして、注意を呼びかけている。
同州では500棟以上の家屋が浸水しているという。州政府は、洪水で自宅を追われた住民に対して、大人560豪ドル、子ども280豪ドルの支援金を支払うと発表している。
TAS州では、中部グレートレイクで24時間に398ミリの雨が降るなど記録的な大雨となった。北部デラレーンやラトローブなどで河川が氾濫し、町の中心部が冠水している。北部ロンセストンでは浮き桟橋が破壊されたり、住民が避難を命じられたりしている。
NSW州では、南部フォーブスでラクラン川(Lachlan River)が今日、警戒水位を超えると予想されているため、住民約600人に避難命令が出ている。