犯罪組織率いてメタンフェタミン売った容疑
オーストラリア東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州のポール・トゥール副首相兼警察相(同州国民党党首)の弟がこのほど、違法薬物の密売の容疑などで逮捕された。しかし、トゥール州警察相への批判や辞任を求める声は高まっていない。
メディア大手ニューズ・コーポレーションの電子版によると、逮捕されたのはトゥール警察相の実弟で同州東部ニューキャッスル郊外に住むジョシュア・トゥール容疑者(38歳)。同容疑者は13日、違法な犯罪組織を率いて禁止薬物の覚醒剤メタンフェタミンを密売したとして、8つの容疑で起訴され、ニューキャッスル地裁に出廷した。
州警察はこれに先立ち、ニューキャッスル周辺で一斉に家宅捜索を行い、時価200万豪ドル相当のメタンフェタミン2キロと、現金22万豪ドル、銃器などを押収。ジョシュア容疑者のほかに組織の構成員と見られる24歳の女、43歳の男、42歳の男の3人も逮捕している。警察はジョシュア容疑者が組織の首領として活動していたと見ている。
ジョシュア容疑者は、8つの容疑に対して無罪の申し立てと保釈申請を行わなかったため、勾留されている。次回公判は10月21日に開かれる予定だ。
警察相の別の実弟であるカート・トゥール容疑者(32歳)も10月初め、薬物密売の容疑で起訴され、バサースト地裁に出廷。現在、勾留中だという。
トゥール警察相は12日の会見で、犯罪組織の取り締まりを強化すると表明していた。同警察相は実弟逮捕のニュースについて「打ちのめされている」と述べつつ、「誰も法を超越することはできない」として、薬物密売グループの摘発を強化する姿勢を示した。
現役の州警察大臣の実弟が薬物密売で逮捕されるというショッキングなニュースだが、現地では大きな騒ぎになっていない。事件の発覚から数日が経過した現時点で、トゥール警察相の道義的責任や大臣辞任を求める声も出ていない。血のつながった家族とはいえ別人であり、警察相が関与していない限り道義的責任はないと見られているようだ。
■ソース
Police Minister’s brother charged with drug, criminal group offences(news.com.au)