専門家が指摘 重篤化の危険性は高いの?
米国で感染が急拡大している新型コロナウイルス・オミクロン株の亜系統「XBB 1.5」が今後、オーストラリアでも感染が拡大する可能性があり、感染病の専門家らが注視している。必要以上に恐れる必要はないが、「これまでに発見された亜系統の中で最も感染力が強い」(世界保健機構=WHO)とされるだけに、正確な情報の入手に努めたい。
公共放送ABC(電子版)によると、XBB 1.5は21年末以降に拡大したオミクロン株の変異種「BA.2」から派生した亜系統「XBB」の一種。22年10月に米ニューヨークで最初に発見された。1月6日の時点で、米国や欧州など25カ国で感染が確認されている。
米国では、昨年12月31日までの1週間でXBBとXBB 1.5の合計で新規感染者数の44.1%に達し、前の週の21.7%から倍増。感染力がきわめて高いことが明らかになっている。
一方、オーストラリア連邦保健省によると、確認されているXBB 1.5の感染者数は1月3日の時点でまだ8人と、コロナ新規感染者全体の1%以下にとどまっている。
XBB 1.5に感染した場合の重篤化の危険性については、まだ分かっていないことが多い。ただ、感染力が高いからといって、これまでの亜系統と比較して毒性が高いとは限らない。
ディーキン大の疫学専門家であるハサーン・バリー准教授はABCに次のように話している。
「現時点では、オーストラリアでは過度に心配する必要はない。しかし、新型コロナウイルスは依然として私たちの健康にとって脅威であり、警戒し続ける必要があるということを思い起こさせるよいタイミングになる。常に最新のワクチンを接種するなど、感染リスクを軽減させるためにできることは全て行うべきだ」
また、南オーストラリア大の疫病専門家であるエイドリアン・エスターマン教授は、XBB 1.5について「オーストラリアで次の感染拡大の波を起こす潜在的な可能性がある」と指摘した上で、「これまでの感染とワクチンによって私たちは高い水準の免疫を獲得していることから、『BA.2』、『BA.4』と『BA.5』(いずれもオミクロン株の変異種)の時ほど悪いことにはならないだろう」と予想している。