売上高4%増、税引き前利益18.4%増
オーストラリア国内最大のスーパーマーケット・チェーンを運営する「ウールワース・グループ」は22日、2022/23年度(22年7月1日〜23年6月30日)上期(23年1月1日までの27週間)の決算を発表した。新型コロナのオミクロン株感染拡大の影響を受けた前年の反動に加え、直近の業績も好調で、増収増益を記録した。
決算書によると、グループ全体の売上高は前年同期比4.0%増の331億6,900万豪ドル(約3兆500万円)、利子税引き前減価償却前利益(EBITDA)は12.7%増の29億2,400万豪ドル、利子税引き前利益(EBIT)は18.4%増の16億3,700万豪ドル、税引き後の純利益は14.0増の9億1,100万豪ドルだった。
企業の「稼ぐ力」を示す希薄化1株当たり利益(EPS)は66.6豪セント(一時的要因を除く)と22.5%伸びた。
「ビックW」はコロナ反動で利益急増
ウールワース・グループは、通称「ウーリーズ」で馴染み深いスーパー「ウールワース」995店のほか、都市型の小型スーパー「メトロ」90店、ネット販売用の物流施設5カ所、ディスカウント量販店「ビッグW」176店(店舗数は22年6月時点)などをオーストラリアとニュージーランド(NZ)で展開している。
部門別の業績は、中核事業である「オーストラリア食品部門」は、売上高が243億8,500万豪ドル(前年同期比2.5%増)、EBITが14億3,900万豪ドル(18.2%増)。「NZ食品部門」は、売上高が3.5%減の37億300万豪ドル、EBITが42.0%減の1億1,100万豪ドルだった。
また、「オーストラリアB2B」(法人向け取引)は、売上高が23.0%増の24万3,300万豪ドル、EBITが105.3%増の3,800万豪ドル。「ビッグW」は、売上高が15.3%増の27億800万豪ドル、EBITが437.5%増の1億3,400万豪ドルとなっている。
オーストラリアの主要都市では2021年、大規模なロックダウン(都市封鎖)が実施された。食品や生活必需品を扱うウールワースは営業を続けたが、ビッグWの店舗の多くは閉店を強いられた。このため、一時的な反動要因から今年度上期の利益が劇的に伸びた。
「生活コスト上昇で見通しは厳しい」
ブラッド・バンドゥーチ最高経営責任者(CEO)は声明で「顧客は、経済全体のインフレによる生活コスト上昇の圧力を感じている」と物価高の影響を認めた上で「購入しやすい価格設定、供給の確保、クリスマスの好調な業績が、4.0%増の売上高と18.4%増のEBITの成長をもたらした」と述べた。
同CEOは見通しについて「今後6カ月〜1年は、生活コストの上昇圧力が継続し、事業環境は厳しさを増すだろう。引き続き『バリュー・フォー・マネー』(費用対効果の高さ)を顧客に提供できるよう全力を尽くす」と語った。
オーストラリア・スーパー業界のシェア(22年=調査会社アイビスワールド調べ)は、最大手ウールワースが36.6%、2番手「コールズ」が27.8%と大手2強が全体の約3分の2を寡占している。近年はドイツ系のディスカウント・スーパー「アルディ」が、東海岸を中心に店舗網を拡大して2社を急激に追い上げており、シェアを10.1%まで伸ばしている。
■ソース
ASX Announcement, Half-Year Results Announcement,(Woolworths Group)