米気象当局はラニーニャの終息宣言
オーストラリアの気候に大きな影響を与えるラニーニャとエルニーニョ。米国海洋大気庁(NOAA)は9日、ラニーニャの終息を宣言し、北半球の春から初夏にかけて、中立の状態が続くとの予報を発表している。
オーストラリアでは、ラニーニャのシーズンは大雨による洪水の被害を受けることが多い。だが、恵みの雨によって主力輸出商品である小麦や大麦などの穀物は豊作となり、経済全体にとってはむしろ追い風となる。
一方、エルニーニョのシーズンは大規模な干ばつと水不足、高温に見舞われるケースが多い。山火事被害が多発し、作物も凶作となるなど地域社会や農村経済は大打撃を受ける。
ラニーニャとエルニーニョは、太平洋上の大気や海水温の変動が地球規模の気候に影響を与える自然現象。その目安となる「エルニーニョ・南方振動」(ENSO)を長期的に予測することは難しいことから、今後エルニーニョが再来するかどうかは不透明だ。しかし、ラニーニャとエルニーニョはおおむね数年毎に交互に訪れるため、来夏以降、オーストラリアで干ばつや山火事が再び頻発する可能性は否定できない。
■ソース
EL NIÑO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION(NOAA/National Weather Service)