先進国で最高水準からの上乗せ
激しいインフレに見舞われているオーストラリアでは、労働組合が最低賃金の7.0%引き上げを要求している。認められた場合、7月の最低賃金改訂で、最低時給は現時点の為替レートで2,000円を超える可能性がある。30日付の公共放送ABC(電子版)が伝えている。
オーストラリアの22年10〜12月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は7.8%と、1990年以来33年ぶりの高水準を記録した。物価高に対応するため、与党労働党の支持母体である「オーストラリア労働組合評議会」(ACTU)は、今年7月1日から最低賃金を7.0%引き上げて時給22.38豪ドル(約2,035円)とするよう求めている。
オーストラリアの法定最低賃金は、全国均一で地域差がなく、フルタイムやパートタイムなどの雇用形態にも関係なく適用される。公正労働委員会が毎年、物価動向踏まえて金額を見直し、会計年度が始まる7月1日に施行する。
2022/23年度(22年7月1日〜23年6月30日)の現行最低時給は21.38豪ドル(約1,900円)、最低週給(所定時間内労働38時間)は812.60豪ドル(約7万2,200円)。コロナ後の経済再開やサプライチェーンの混乱、ウクライナ侵攻による急激なインフレを背景に、前年度比で5.2%引き上げていた。
オーストラリアの最低賃金は、既に主要国で指折りの高水準にある。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、21年のオーストラリアの最低賃金は、米ドル基準の購買力平価(PPP=実数とは異なる)ベースで12.8米ドルとOECD加盟国中ルクセンブルグに次いで2位、主要20カ国・地域(G20)では1位となっている。
■ソース
Treasurer Jim Chalmers backs lift in pay rates ahead of minimum wage review, as unions push for pay rise to match inflation(ABC News)
Real hourly minimum wages in 2021 constant prices at 2021 USD PPPs(OECD Stat)