ワインの対中輸出再開にも期待
オーストラリア産大麦に中国政府が高関税をかけて市場から締め出している問題で、オーストラリアのペニー・ウォン外相は11日、外交交渉に進展があったと表明した。豪中間の交渉の結果、中国は今後3カ月間かけて関税を再検討することに合意した。一方、オーストラリアはその間、高関税を不服とした世界貿易機構(WTO)への提訴を一時的に取り下げる。
大麦は、小麦や菜種などと並ぶオーストラリア産作物の主力輸出商品の1つ。2018/19年度(18年7月〜19年6月)の対中輸出額は9億1,600万豪ドルあった。だが、豪中関係の悪化を背景に、中国は2020年、オーストラリア産大麦に80.5%の高い関税を課し、事実上の禁輸としていた。
ウォン外相は声明で「オーストラリア政府は、(中国政府がオーストラリア産大麦などに課している高い)これらの関税に正当な根拠がなく、すべての貿易障壁が取り払われることは互いの利益につながると主張してきた」と述べ、交渉の進展を歓迎した。
ただ、合意した期間内に中国が高関税を取りやめない場合、オーストラリアはWTOへの提訴を再開する。オーストラリアの農業生産者の利益を守るため、外相はWTO提訴を含むあらゆる手段を取ると強調。「オーストラリアの事業者が輸出市場の多様化を図る機会を創出する」と中国以外への輸出拡大も模索する意向だ。
中国は、大麦のほかワイン、ロックロブスター(イセエビ)、材木などのオーストラリア産農林水産品に高関税をかけたり、検疫を停止したりして輸入を事実上禁止または制限している。外相は大麦に続き、ワインについても貿易障壁の撤廃に期待感を示している。
外相は「アルバニージー政権は中国に対して、可能な場合は協力しつつ、意見が異なる場合は私たちの国益に沿って反対する。今回の(関税をめぐる)交渉はそうしたアプローチを反映したものだ」と語った。