政府系農業シンクタンクが四半期作柄報告書で予測
エルニーニョの再来は、オーストラリアの有力な輸出商品である穀物を不作に導き、家庭の食卓にも影響を与えそうだ。連邦政府のシンクタンク「オーストラリア農業経済資源局」(ABARES)がこのほど発表した6月の四半期報告書によると、2023/24年度(23年7月1日〜24年6月30日)の冬作物(南半球の秋に作付けして初夏に収穫する作物)の生産量は過去最高を記録した前年度と比べて34%減少し、約4,490万トンにとどまる見通しだ。
オーストラリア産冬作物の生産量は、ラニーニャの大雨の恩恵を受けてこれまで3シーズン連続で史上最高を更新してきたが、来季はエルニーニョの影響で一転して落ち込むという。ただ、4,490万トンは過去10年間の平均値を3%下回る水準だという。
冬作物の作付面積は2,330万ヘクタール(23万3,000平方キロ)と過去10年間の平均を6%上回る高い水準を維持すると見られる。しかしながら、国内の穀倉地帯では7月以降、エルニーニョの再来がほぼ確実視されている。この影響で降水量が不足し、面識当たりの収穫率が悪化するため、生産量は大幅に減少すると見られている。
なお、23万3,000平方キロの作付面積は、日本の総面積の約6割に相当する。広大に見えるが、オーストラリア国土の約3%にすぎない。大陸の大部分は乾燥していて耕作に適しておらず、農地の大半を荒野で牛を野放しで育てる放牧地が占めている。一定の降水量が必要な作物の生産は、大陸東部の内陸部を流れるマレー・ダーリング川流域と、西オーストラリア州南西部の比較的狭い地域に限られている。
■ソース
Australian Crop Report(Australian Bureau of Agricultural and Resource Economics)