物価正常化まで2年半の長い道のり
豪準備銀(RBA)は1日、2会合連続で政策金利(4.10%)の据え置きを決定したが、事前の市場予測は真二つに割れていた。ロイター通信が行ったエコノミストの聞き取り調査では、36人のうち20人が利上げを予想。4大銀行のうち、コモンウェルス銀とウェストパック銀が利上げ、ANZ銀とナショナル・オーストラリア銀が据え置きを想定していた。
株式市場は、企業業績にプラスとなる金利据え置きを好感した。シドニーのオーストラリア証券取引所(ASX)の主要株価指数「S&P/ASX200」は、金利据え置きが発表された1日午後2時30分の直後に急上昇。前日終値比で約0.54%高い7,450.70ポイントで取引を終了した。
外国為替市場では、豪ドルが基軸通貨の米ドルに対して下落した。公共放送ABC(電子版)によると、金利据え置きのニュースを受けて、1豪ドル=66.7米セントと一時0.8%下落した。
一方、ジム・チャーマーズ連邦財務相は利上げ見送りを歓迎した。ABCによると、同財務相は「住宅ローンを抱える国民を安堵させるものだ。既に生活に苦しんでいる国民に対して、歓迎すべき猶予となる。だが、インフレが落ち着き、金利が据え置かれても、国民は依然として疲弊している。インフレは弱まりつつあるが、まだ高い水準にあることを理解しなければならない」と述べた。
今後は、過去1年あまりで4.0ポイントにも及んだ急激な利上げが、これで打ち止めとなるのか。もう一段の利上げがあるのかが焦点となる。RBAの想定どおりだと、インフレが目標(2〜3%)まで下がるのにまだ2年半程度かかる。依然として十分に高い物価上昇圧力を抑え続けるには、高い金利水準はしばらく続く。
エコノミストによると、利下げ開始は「2024年以降のいつか」という観測でおおむね一致している。コロナ禍の未曾有の金融緩和が招いた約30年ぶりの激しいインフレ。その戦後処理は当面尾を引きそうだ。
■ソース
Australian central bank holds rates steady for second month(Reuters)