敗訴受け謝罪、賠償金支払いへ
オーストラリアの航空最大手、カンタス航空がコロナ禍の2020年、国内10カ所の空港で地上職員1,700人を解雇したことの違法性が争われた裁判の判決が13日、キャンベラの連邦最高裁であった。最高裁はカンタスの違法性を認めた21年の高裁判決を支持し、同社の敗訴が確定した。地元メディアが伝えている。
裁判では、職員を解雇して外部委託に切り替えた背景には労使紛争を封じ込める意図があり、連邦公正労働法に違反する行為だとして、運輸労働組合(TWU)が訴えていた。連邦高裁は原告の主張を認め、カンタスの違法性を認定。同社はこれを不服として上告していた。
カンタスは敗訴が確定したことを受けて声明で「影響を受けたスタッフに真摯に謝罪する」と述べた。連邦高裁の原審では、解雇された職員の復職は否定されていることから、既に支払い済みの解雇手当を考慮して、賠償金の支払いを検討するとしている。
一方、勝訴したTWUは、6日に就任したバネッサ・ハドソン最高経営責任者(CEO)が改めて謝罪し、速やかに賠償金を支払うよう要求。退任したアラン・ジョイス前CEOの退職金の返還と取締役会の刷新も求めた。
カンタスをめぐっては、22年にキャンセルしたフライトの航空券を不正に販売していた問題も浮上している。オーストラリア競争消費者委員会(ACCC)は8月31日、消費者を欺く虚偽の商取引を行ったとして同社を連邦裁判所に提訴した。これを受けて、ジョイス前CEOが予定より2カ月早く引責辞任するなど、混乱が広がっている。
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