コロナ禍以降の相次ぐ不祥事について謝罪
オーストラリアの航空最大手カンタス航空や格安航空会社ジェットスターを運営するカンタス・グループは11日、リチャード・ゴイダー会長が2024年の年次総会で退任すると発表した。次々と明るみに出ているコロナ禍対応の不適切な経営判断について責任を取る。同社は声明で「会社への信頼を取り戻す」ため、取締役会の人事を刷新すると強調した。
ゴイダー会長は「世間の評判と顧客サービスをめぐる重大な問題に直面しており、信頼を回復するには説明責任が必要だ」と指摘した。その上で同会長は、「コロナ禍の運航停止以降、復興の過程で間違いをおかした」ことを謝罪した。
同社は11月3日に開く今年の年次総会で、9月に就任したバネッサ・ハドソン最高経営責任者(CEO)を含む新役員3人の選出を目指す。新しい会長の選任も急ぐ。
カンタスをめぐっては、22年にキャンセルしたフライトの航空券を不正に販売していた疑惑が浮上。規制当局「オーストラリア競争消費者委員会」(ACCC)は8月31日、消費者を欺く虚偽の商取引を行ったとして、カンタスを連邦裁判所に提訴していた。
これを受けて、アラン・ジョイス前CEOは9月5日、当初の予定より2カ月早い退任を発表し、ハドソン氏が同社初の女性CEOに就いていた。
航空券の不正販売問題とは別に、コロナ禍の従業員解雇についても違法とする判決が確定した。オーストラリア連邦最高裁は9月13日、カンタスが20年に空港の地上職員1,700人を解雇したのは連邦公正労働法に違反するとの判決を下した。カンタスは解雇した元職員に謝罪し、賠償金の支払いを進めるとしている。