25日発表の7〜9月CPI統計に注目
オーストラリア統計局(ABS)が19日発表した9月の雇用統計によると、失業率は季節調整値で3.6%と前月から0.1ポイント低下した。オーストラリアの失業率は過去1年以上、3.4%〜3.7%のレンジで歴史的な低水準を維持している。労働市場の需給が、依然としてひっ迫していることが改めて確認された。
ただ、就業者数は1,411万1,200人と前月比の伸びは6,700人と小幅にとどまった。失業者数は52万500人と1万9,800人減少した。ABS雇用統計部門の責任者を務めるケイト・ラム氏は声明で「失業率の低下が必ずしも雇用拡大を意味するとは限らない」と述べ、仕事を探している失業者の減少が失業率低下につながったと分析した。
労働参加率は66.7%と8月に記録した過去最高記録から0.2ポイント下落したものの、コロナ禍前の水準を大幅に上回っている。
「人口増に雇用が追い付かなくなる」
しかし、今後は経済成長が鈍化し、失業率は緩やかに上昇していく見通しだ。公共放送ABC(電子版)によると、ナショナル・オーストラリア銀(NAB)のブロディー・バイニー上級エコノミストは「雇用の伸びはこのところ人口増加率におおむね追い付いている。このことが失業率を(歴史的な)低水準に抑えている」と述べた。
バイニー氏によると、目下の高い人口増加のペースに見合う仕事を確保しつつ、低い失業率を安定して維持するには、1カ月当たり平均3万5,000人の雇用創出が必要だという。
バイニー氏は「今後は、過去1年間と比べて、雇用の伸びはより不安定なものとなるだろう。私たちの予測では、景気はこれから下り坂に向かう。失業率は毎月、少しずつ上昇していくだろう」と述べた。
■ソース