0.25ポイント引き上げ4.35%に 11年ぶりの高水準
オーストラリアの中央銀行、豪準備銀(RBA)は7日、金融政策を決める月例の理事会を開き、政策金利を0.25ポイント引き上げて4.35%にすると発表した。利上げは6月以来5会合ぶり。おおむね市場参加者やエコノミストの予想通りだった。
4.35%は2012年12月以降で最高水準。RBAは22年5月から今年6月までの13会合のうち12会合で利上げを行い、政策金利を0.10%から4.15%まで引き上げていたが、7月以降は4会合連続で据え置いていた。インフレが22年12月末をピークに鈍化に転じていることから、利上げによる国民生活への副作用も天秤にかけ、「様子見」を続けてきた。当初は、今回の金融引き締め局面での利上げは、これで「打ち止め」との見方も広まった。
しかし、インフレ鈍化のスピードがRBAの思い通りに加速していないとの判断に傾き、もう一段の引き締めに踏み切った。
RBAのミシェル・ブロック総裁は声明で「オーストラリアのインフレはピークを過ぎたが、依然として高水準にあり、数カ月前の予想よりも粘り強くなっている」と述べ、モノの物価上昇の鈍化に比べ、サービスの物価上昇が引き続き活発だとの認識を示した。鈍化のペースが遅いとの見方から、「インフレ目標(2〜3%)に戻すには利上げが必要と判断した」と指摘した。
今後の金利の見通しについて、ブロック総裁は「妥当な時間軸の中でインフレ目標に戻すために、さらなる金融引き締めが必要になるかどうかは、統計データと変動するリスク評価に依存する」と語った。据え置き、追加利上げの可能性を両睨みした中立的な姿勢と受け止められている。
利上げはしつこい物価上昇圧力を抑え込むことが目的だが、オーストラリアの全世帯の約3分の1を占める住宅ローン債務者にとって打撃は小さくない。個人消費を冷え込ませて成長の足を引っ張り、インフレと景気後退が同時に起きるスタグフレーションの要因となりかねない。
公共放送ABC(電子版)によると、残金50万豪ドル(約4,800万円)の平均的な金利変動型住宅ローンのケースでは、0.25ポイントの利上げが住宅ローン金利にそのまま上乗せされた場合、1カ月当たり76豪ドルの負担増になるという。RBAが利上げを開始した2022年5月以降、1カ月当たりの支払い額は累計で1,200豪ドル以上増えており、増加率は52%に達している。
■ソース
Statement by Michele Bullock, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)
Reserve Bank raises interest rates, repayments now up more than 50pc since hikes began(ABC News)