100%再エネで年4万5,000トン計画
オーストラリアのクリス・ボウエン連邦気候変動・エネルギー相は18日、南部タスマニア州の水素ハブ(水素エネルギー生産・輸出拠点)開発プロジェクトに7,000万豪ドル(約68億円)を投資すると発表した。連邦政府とタスマニア州政府、民間などの投資総額は3億豪ドル以上となる見込みだという。
水素ハブの建設を計画しているのは、タスマニア州北部ベル・ベイ。タスマニア州内では既に電力の100%を再生可能エネルギーでまかなっているため、同拠点ではサプライチェーン全体で温室効果ガスを排出しない「グリーン水素」を生産できる。
今年中に着工し、2028年初めの完成を目指す。水素の生産量は、大型車両2,200台分の燃料に相当する年間4万5,000トンを予定。完成後はエンジニアや技術者など新たに約740人の雇用を創出するとしている。
ボウエン連邦気候変動・エネルギー相は声明で「再生可能エネルギー大国となる将来のオーストラリアに投資する。100%再生可能エネルギーによる電力供給を受けるベル・ベイは、(グリーン水素の)生産と輸出の一大基地となる。世界の脱炭素化が進む中で、地方に雇用と新たな製造業を生み出し、投資を加速させる」と述べた。
オーストラリア連邦政府は将来的な「水素社会」の到来を視野に、水素エネルギーを石炭や天然ガスなどに換わる有力な輸出商品に育てるという青写真を描いている。日韓などアジアの工業国にグリーン水素を本格的に輸出することを目指し、州政府や民間と共同で水素ハブの開発を進めている。
水素ハブの開発予定地は現時点で7カ所。ベル・ベイのほか、西オーストラリア州ピルバラ、同州クウィナナ、ニューサウスウェールズ州ハンター、クイーンズランド州グラドストーン、同州タウンズビル、南オーストラリア州ポート・ボニソンがある。連邦政府の水素ハブへの投資額は合計5億豪ドル以上に達する見通しだ。
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