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映画『Mao’s Last Dancer』で世界中に名を轟かせた恩師リーとの出会い②/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドトゥ 第32回

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2021年公演『エチュード』主演後、リーよりプリンシパルへの昇格の報せをサプライズで受けた時の筆者の思い出の1枚(©️Queensland Ballet)

 皆さん、こんにちは。QLDバレエ団の吉田合々香です。前回に続いて今回も、昨年末に芸術監督を引退したリー・ツンシンと私の出会いについてお話ししたいと思います。

 ローザンヌ国際バレエ・コンクールに参加した時に、彼に1週間じっくりと踊りを見てもらったことは前回に書きましたが、その時はコンクールが終わるまで会話を交わすことは一切ありませんでした。全ての審査が終わった後、コンクールを見に来ていた各国のバレエ学校やバレエ団のディレクターが興味のある学生をスカウトする機会が与えられます。その時に私はコンクールのスタッフに「あちらのテーブルであなたと話したい人が待っている」と伝えられ、向かったテーブルで私を待っていたのが、リーでした。

 当時、私は今ほど英語での会話が得意ではありませんでしたが、「舞台の演技で僕を泣かせたのは参加者の中で君1人だった。これからプロとして一流のダンサーに育てたい」と熱意を持って伝えてくれたのはすぐに理解できました。彼の優しい笑顔と真っ直ぐで情熱のあふれる眼差しからスターらしいオーラが出ていて、緊張と希望で胸がドキドキしながら会話したのを覚えています。





 この出会いで、ヨーロッパに留学して卒業する私にとって未知の世界であるオーストラリアに道が開けるなんて全く予想外の出来事でした。それでも、すばらしいダンサーである彼から直接プロとして学び成長させてもらえる機会を絶対に逃してはいけないと思い、南半球への移住をすぐに決意しました。

 あれから10年が経った2023年、リーはQLDバレエの芸術監督として11年間の彼でしかなし得ないすばらしい活躍の後に引退を決意しました。彼ほど芸術を愛し、ダンサーに情熱を注ぎ、ストイックに夢を現実へと変えてゆく行動力を持った人は、そうはいないと思います。そんな彼の元で10年間たくさんの経験を積ませてもらい、まだ種から芽が出たばかりだった私をプロとして育て上げてくれたリーには心から感謝の気持ちでいっぱいです。彼の11年間のすばらしい功績に心からの敬意を表したいと思います。

このコラムの著者

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吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。





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