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新NISA開始 最高値更新のオーストラリア株って買いなの?②

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上昇率は米株下回るも長期的に安定成長

 日本では1月から新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、米国を筆頭に外国株投資への関心が高まっている。そこで、今後も成長と人口増が見込まれるオーストラリアは、株式の投資対象としてはどうなのか?新NISAを機に株を始めた投資初心者目線で、長期積立投資を前提とした「ミドルリスク、ミドルリターン」の観点から、ザックリ検証してみた。

グラフ1(作成:©守屋太郎)

 過去の実績から見てみよう。日経平均が過去最高値を記録した1989年12月=100として、2024年1月までの日経平均、オーストラリアの「オールオーディナリーズ」(All Ords)、米国のS&P500の3つの主要株価指数の騰落率(月足)を比較した(グラフ1)。

 その結果、日経平均は2012年以降に急伸したとは言え、依然として93.2にとどまっている。これに対して、豪オールオーディナリーズは474.8(約4.7倍)、米S&P500は1372.1(約13.7倍)に上昇している。

 株価は物価や為替などの変動を考慮しない名目値であり、3国では経済や株式市場の規模も異なるので、単純に比較はできない。ただ、先進国の平均を上回る安定成長を続けてきたオーストラリアの「繁栄の30年」と、デフレまたは非常に低いインフレにあえいできた日本の「失われた30年」のギャップを端的に示した形ということは言えるだろう。

グラフ2(作成:©守屋太郎)

 ところが、いわゆる「アベノミクス相場」以降の株価(グラフ2)を見ると、全く違った景色が見えてくる。「三本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)を打ち出した第2次安倍晋三内閣が発足したのが12年12月。この月を100として、それから24年1月までの約11年間の日豪米株価の騰落率(月足)を比較すると、日経平均は349.1(約3.5倍)と米S&P500の340.0(3.4倍)を上回った。一方、オーストラリアのオールオーディナリーズは167.9(約1.7倍)にとどまり、そのパフォーマンスは日米に劣後する形となっている。

 細い点はともかく、大雑把にまとめればこういうことだろう。日本では「異次元の金融緩和」で円安に振れ、割安感を好感した海外の機関投資家に買われた。米国ではGAFAM(ハイテク大手のグーグル、アップル、フェイスブック=現メタ、アマゾン、マイクロソフトの5社)や、これら5社に電気自動車大手テスラと半導体大手エヌビディアを加えた「マグニフィセント・セブン」など世界的な巨大企業が急成長して株価を押し上げた。一方、オーストラリアでは経済の安定成長は続いたものの、12年をピークに資源投資ブームが一段落。時価総額の大きい資源大手を中心に株価の伸びが比較的抑えられた。

 ただ、だからといって、オーストラリア株に投資妙味がないわけではない。次回はその魅力とリスクについて見ていく。

「新NISA開始 最高値更新のオーストラリア株って買いなの?③」に続く

注:本稿はオーストラリア経済に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。また、過去のデータが必ずしも将来も通用するとは限りません。投資判断は読者の自己責任でお願いします。





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