移民受け入れ制限の一環
オーストラリア連邦政府が、移民受け入れ制限の一環で、学生ビザの「ホッピング」(何度も繰り返し取得して滞在を延長すること)に締め付けを強めている。背景には、コロナ禍後の経済再開で海外からの移住者が急増し、住宅不足や家賃の高騰が社会問題となっていることがある。学生ビザを隠れ蓑にした滞在延長を阻止するなど、来年度の移民受け入れ数全体を半減させる計画だ。
移民政策を担当するクレア・オニール連邦内務相は12日、学生ビザの野放図な延長を食い止める一連の流れの中で、2つの措置(以下)を新たに発表した。7月1日に施行する。
①訪問者ビザ(観光ビザ=サブクラス600)の保持者が、オーストラリア国内で学生ビザを申請することが不可能に。
②一時卒業生ビザ(学士号以上の学位を取得して大学などを卒業した後、条件付きで1年6カ月間就労できるビザ=サブクラス485)の保持者が、国内で学生ビザを申請することが不可能に。同ビザが切れた後は、国内で高技能職に就いて永住権取得を目指すか、出国するかの選択を迫られる。
一時卒業生ビザ保持者の32%が同ビザ失効後に学生ビザに切り替え、滞在を延長しているとのデータがあるという。政府は既に3月、同ビザの年齢上限を50歳から35歳に引き下げ、英語検定試験の合格基準を厳格化するなど、規制を強化している。
また、内務省の担当官が、既に裁量で留学生の受け入れを制限している可能性が指摘されている。オーストラリアの留学業界関係者によると、海外からの学生ビザ申請についても、このところ却下されるケースが増えているという。
オニール内務相は声明で「私たちが(先人から)受け継いだ移民制度は完全に崩壊している。私たちは、オーストラリアにとって有益な、小規模で計画的、戦略的な移民制度を目指す。留学生教育の抜け道を塞ぐ計画を実行する。私たちがほしいのは、国内に必要な技能を得ることができる移民制度だ」と述べ、「不正や抜け道、搾取」を排除する方針を示した。
■ソース
Ending ‘visa hopping’ in the migration system(The Hon Clare O’Neil MP, Minister for Home Affairs)