政策金利の引き下げは12月開始、年内1回だけか
オーストラリア統計局(ABS)が18日発表した雇用統計によると、3月の失業率(季節調整済み)は3.8%と前月から0.1ポイント上昇した。就業者数が6,600人減少した一方で、失業者数は2万600人増加した。
ABSの雇用統計部門のトップを務めるビヨン・ジャービス氏は声明で「就業者数の伸びは12月、1月と連続して通常より低い水準で推移したが、2月に大幅に伸びた後、3月は小幅に縮小した。雇用の伸びは通常のパターンに戻った」と述べた。
その上で同氏は、労働参加率や全人口に占める就業者数の割合がまだ2023年11月の過去最高記録に近い水準にあることから、「3月の雇用市場は依然としてタイト(引き締まった状態)だ」と指摘した。
ロイター通信によると、市場予測は失業率3.9%、就業者数1万人増だった。同通信は「雇用市場は比較的引き締まっている。ただ、遅いペースではあるものの、引き続き軟化しているとのサインは見られる」と解説した。
中央銀行の豪準備銀(RBA)は直近3月の理事会で、3会合連続で政策金利を3.45%で据え置いた。RBAによると、生活コスト高騰による消費の縮小などを背景に、雇用情勢は今後、次第に悪化し、失業率は6月までに4.2%、年末までに4.3%まで上昇すると予測している。中銀の次の一手は、景気を下支えするための利下げだ。
ただ、2月にサプライズで就業者数が大幅に増加するなど、雇用の需給が依然としてひっ迫した状態が続いていることから、金融市場では早期利下げの観測が次第に遠のいている。以前は「9月に利下げを開始し、年内に複数回行う」との読みが強かったが、現時点では「年内の利下げは12月に1回だけ」との見方が広がっている。
■ソース
Unemployment rate rises to 3.8% in March(Australian Bureau of Statistics)
Australia March employment disappoints, jobless rate ticks up(Reuters)